オウムからの帰還
「オウムからの帰還」 高橋英利著 草思社文庫
6月15日高橋克也容疑者が逮捕された。地下鉄サリン事件の起きた1995年3月20日、私は東京に住み地下鉄日比谷線を利用していたが、たまたま前日から泊まりで仕事をしていて、その朝出勤した同僚から知らされて、テレビをつけたことを覚えている。
最近のオウム報道で、テレビの解説者が言っていたが、地下鉄サリン事件を知らない若い世代がアーレフに入信しているらしい。
思えば、自分も10代の頃、様々な宗教団体に顔を出して、その説教を聴いたものである。霊感商法で悪名高き団体のホームやちょっと過激なイメージの仏教系団体の会合によく行ったものだ。最初は、宗派の教義を聴いてみてその場で論破してやろうなんて、半分ひやかし、半分まじめな知的好奇心から、時には哲学の好きな友人たちと一緒に、時には一人で行ってみて、そのうち「ここじゃないや」と飽きて行かなくなる。
若い頃は、何にでも興味があるし、自分なりの世界観とか人生観とかを、無理やりにでも頭の中だけで考えて構築しようとしがちで、それは自然なことだろうと思う。修行を求めて入信した若者たちが、なぜ、こんなことになったのか、この悲劇を風化させないことが大事だと思う。
本書は、1996年に刊行された単行本を今年2月に文庫本化したものである。(桐)
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