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2019年1月 4日 (金)

「地面師」

 2019年(平成31年)1月4日(金)です。おはようございます。
 正月の間に読んだ本を紹介します。

310104

 帯には「全国の不動産関係者、銀行員、デベロッパー社員、弁護士・司法書士、必読の書」と書かれています。筆者は、週刊新潮から独立して数々の賞を受賞しているノンフィクション作家の森功さん。

 「地面師」と呼ばれる詐欺集団とは、どのような連中なのか。五反田積水ハウス事件、新橋白骨死体事件、富ヶ谷台湾華僑事件、アパホテル溜池駐車場事件、なりすまし不在の世田谷事件・・・・・、これらの不動産詐欺事件は、どのように仕組まれ実行されたのか。

 読了後、一司法書士として、何か教訓になりそうなことはないか、自分なりに考えてみました。

(1) なりすましではパスポートが偽造されるケースが多いのかもしれません。恥ずかしながら、私は司法書士になって以来パスポートで本人確認をした記憶がありません。慣れてない分偽物を出されたときに違和感を感じにくいかもしれません。

(2) 不動産登記法23条4項2号の公証人による本人確認の認証が悪用されるケースが多いようです。市役所で他人の印鑑を改印して印鑑登録証明書を詐取することは簡単です。その印鑑登録証明書と実印を使って公証人に本人確認をさせることも簡単にできそうです。売主が公証人の認証を使う場合には、疑ってかかった方がいいかもしれません。

(3) 決済当日に初めて所有者と顔を合わせる司法書士にとって、書類の偽造をその場で見破ることは困難かもしれません。ただ、積水ハウス事件ではなりすまし犯が司法書士に干支を聞かれて間違えて答えているし、台湾華僑事件では印鑑登録証明書の生年の記載がパスポートのそれと一致していないことに司法書士は気づいていた。おかしいと思ったときに、取引を流してもいいという覚悟が持てるかどうか。

 その他にも、やたら登場人物が多い場合、特に複数の会社が入ってくるような決済は疑ってかかる必要がありそうです。

 東京は怖い・・・・・。それが読後の率直な感想でした。(桐)

 

 

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