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2020年8月 8日 (土)

一度も出廷せず「調停に代わる決定」

 2020年8月8日(土)、おつかれさまです。

 過払ブームが去って法廷に立つ回数は激減しました。弁護士が増えた影響で一般民事の依頼も減りました。久々に裁判の依頼が来ると、基本を忘れている自分に気づきます。

 先日、ある地裁事件で決定が出ました。「上記当事者間の不当利得返還請求事件について、当裁判所は、当事者間の衡平その他一切の事情を考慮したうえ、民事調停法17条により、主文のとおり調停に代わる決定をする。」

 申立てたのは訴訟ですが、なぜか「調停に代わる決定」とあります。

 民事調停法第20条第1項 

 受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又は自ら処理することができる。ただし、事件について争点及び証拠の整理が完了した後において、当事者の合意がない場合には、この限りではない。

 地裁は、民事調停法第20条第1項により事件を調停に付したわけです。これを「付調停」と言います。そして「自ら処理」したのです。

 次に、民事調停法第17条です。

 民事調停法第17条

 裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために公平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定することができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。

 厳密にいうと、和解について事前に合意に達しているので「調停が成立する見込みがない」とは言えないし、「民事調停委員の意見を」聴いたかどうかは不明(おそらく裁判官の単独調停)という疑問を感じながらも、ともあれ「調停に代わる決定」が出されました。

 さらに、本件では、原告・被告ともに指定された初回期日に出席しておりません。訴外交渉で原告・被告間の合意が形成されたために地裁が期日外で「調停に代わる決定」をしたものです。

 つまり、原告は一度も裁判所に出廷せず、したがって極度の緊張を強いられることもなく、仕事も休む必要もなく、簡単に債務名義を取得することができました。

 「調停に代わる決定」は、期日外でもいいんですね。私はすっかり忘れていて、依頼者には1回は裁判所に出廷する必要があると説明していました。失礼しました。(桐)

 参考になる過去記事は、下記のとおり。

 和解に代わる決定 期日外でも

 調停に代わる決定と調停に代わる審判

 17条決定の錯誤無効

 

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