本人名義口座と保佐人登録口座の併用を
2024年2月16日(金)、おつかれさまです。昨日は暖かかったけど、今日は冬に逆戻り。寒かったですね。
さて、業務日誌です。
ある銀行の被保佐人Kさん名義の預金口座について、普通預金通帳と定期預金証書の一部を施設が管理して、保佐人の私が定期預金証書1通だけを管理していました。
預かっている定期預金が満期となり、私が更新なり解約なりの手続きするには、当然ながら保佐人の届出をしないとできません。しかし、その届出をすれば、施設が管理している口座も同様に届出をしなければならなくなります。
本来、保佐人・補助人の代理権の趣旨は、本人でもできるし、保佐人・補助人が代理してでもできるという意味です。本人から本人が自ら有効に法律行為を行う能力を奪うものではありません。
法律の趣旨からすれば、一つの口座に本人と保佐人・補助人の2つの印鑑を登録して、本人でも、保佐人・補助人でも払出しができるようにするべきです。
取引の安全や管理コストの問題から、それが困難であれば、二つの口座利用を認め、一つを本人が、もう一つを保佐人・補助人が使う口座として利用できるようにしてもらえれば、本人の浪費や詐欺被害を防ぐことができます。
昔は、一つの銀行で複数の口座を作ることができたし、共通印鑑届といって複数口座を管理するための印鑑の届出書があり、個別印鑑届といってその口座だけ別の印鑑の届出ができるシステムもありました。
ですから、2口座別々の利用ができないはずはないのですが、最近の銀行実務では顧客番号ごとに一律に一つの印鑑でしか使用ができなくなっているようです。
今日の場合、私が保佐人の届出をすれば、施設が管理している口座にも届出を行い、全口座について私の印鑑で払出しをしなければならなくなります。施設の利用料や諸費用を、施設が本人の印鑑を使って払い出すことができなくなり、困ると思うのです。
結局、保佐人の届出はせずに、私が預かっていた定期預金証書を施設に預けて、管理を1本化することにしました。もう少し法律の趣旨に従ってフレキシブルな対応ができればありがたいのですが。
これは昔から思っていることで、ブログ記事を検索してみると、2018年8月20日にこんな記事を書いていました。1つの銀行で本人名義口座と保佐人・補助人登録口座の2口座の併用が認められるとありがたいです。(桐)
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