戸籍の広域交付について
2024年5月29日(水)、おつかれさまです。
3月1日から戸籍の広域交付が始まりました。本人請求にしか対応しておらず、第三者請求はできないという話なので、士業者が職務上請求で利用することはできません。
昨日、初めて、高齢のご本人を市役所にお連れして広域交付を体験しました。ところが、なんとシステムダウン。受付だけしてシステム回復後連絡しますとのことで、本日連絡があったので受け取りに行きました。
確かに便利ですね。これまで郵送請求で時間的には1週間以上、費用的には馬鹿高い定額小為替代や郵便代もかかっていましたが、それが請求手数料だけで2日間でとれたのですから、便利さを実感しました。
ただし、課題としては、
(1) システムダウンというやつはなんとかしてほしい。
もし高齢者が往復のタクシー代を払って役所まで出向いたとして、それでシステムダウンとなると、取りに行くのにまた往復のタクシー代を負担しないといけない。費用的には郵送請求の方が安くなってしまいます。
自治体によって採用している住民票・戸籍交付システムの業者が異なり、すべてのシステム間でうまく稼働させるのが難しいそうです。倉敷市はテスト段階から全くうまくいかないと聞いていましたが、3か月を経過しようとしているのにいまだに解決していないようです。
少なくとも「今は使えます」「今は使えません」という常時のアナウンスをする必要があります。
(2) 第三者請求に拡大してほしい。
なぜ本人請求に限定しているのか、その理由がよくわかりません。審査は請求窓口の自治体職員が行うわけで、本人請求であれ第三者請求であれ窓口審査で正当な請求と認められれば、交付しても何の問題もないと思います。
デジタル庁のトップが「やれ」と言えば、第三者請求もできるのではないでしょうか。傍系が請求できないと相続では役に立ちません。そこまで拡大すれば、職務上請求でも利用できるようになるはずです。
(3) 倉敷・岡山・玉野の士業にとっては不便になった。
広域交付が稼働するまで、倉敷市・岡山市・玉野市のシステムは連動していて、倉敷市内の当事務所でも近くの支所から岡山市や玉野市の戸籍が請求できて助かっていました。住民票はできなかったのですが。
それが広域交付開始によって廃止されたので、当事務所では、玉野市の戸籍を片道40分かけて取りに行くか、一週間程度の時間を覚悟して郵送請求するかの選択になってしまいました。
(4) 自治体の手数料収入の問題
当然ですが、郵送請求の場合は、手数料は戸籍・住民票を交付する自治体の収入になっていました。広域交付では、交付する自治体ではなく、受け付ける自治体の収入になるようです。
地方出身で都会に出た方が、故郷の市町村に請求することが多いでしょうから、都市部の自治体の収入増、地方の自治体の収入減につながるのではないでしょうか。歳入面で地方の収入減になるとしたら好ましいことではありません。
以上、思いついたことを書きました。確かに便利ではありますが、改善の余地がいっぱいあるようです。今後に期待しています。(桐)
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