統合失調症のしくみ
2024年9月30日(月)、おつかれさまです。
月報司法書士9月号の特集は「心の病とケア」ですが、その中で京都大学大学院の松本卓也准教授が「精神疾患とは何だろうかーー特にうつ病、双極症、統合失調症について」という寄稿をされています。一部抜粋すると、
統合失調症の幻聴は、多くの場合、頭のなかの独り言として始まる。私たちは誰でも、思考するときには頭のなかで言葉を浮かべており、それが頭のなかで音声のように「聞こえて」いる人が多い。そういった、頭のなかの思考は、自分が考えたい内容で占められており、「自分で考えている」という感覚を伴っているものだが、ときにはどうして出てきたのかわからないような内容が頭に浮かぶこともある。そのような出所不明の言葉がたくさん浮かんでくるようになった状態を、「自生思考」と呼ぶ。この自生思考が、徐々にその性質を変化させ、「自分で考えている」という感覚を失う。すると、「自分の頭のなかで誰かが考えている」と感じられたり、「その考えが誰か他人の声として頭のなかで聞こえる」と感じられたりするようになる。最終的に、その考えが外部から聞こえていると感じられるようになると、文字通りの「幻聴」の完成である。
幻聴の完成に至る経緯がとても興味深いです。実は、昨日訪問したグループホームに入所中の被保佐人Iさん、暴走族がバイクのクラクションで自分の名前を呼んでいると言います。
そもそもクラクションが本当に鳴っているのかも怪しいのですが、プ・プ・プ・プーという音が、〇・〇・〇・〇という自分の名前の呼ぶ音声として頭のなかに残っています。
彼は親族の■■が暴走族に自分を探させているんだと解釈しています。彼は見つかりたくありません。なぜなら、かつてその親族に虐待されていたと自分では思っているからです。
久々に病院から外出許可をとって、一緒に喫茶店にコーヒーを飲みに行ったNさん。最初は普通にしゃべるので退院して施設生活を始めてもいいような印象を持ったのですが、話の内容はほとんど妄想でした。
数年前にお父さんが亡くなって私が後見人になったのですが、お父さんは時々面会に来てくれるし、一人っ子のくせに駅前で弟が肉屋を営んでいるし。この妄想はどうやったら・・・。
でも改善された方もいます。被後見人Kさん、夫は織田裕二で自分は天皇家の出身、母親が宮家から自分をもらって育てたようです。無茶苦茶長い宮家の家名をお持ちで、病院の男性スタッフは何人も自分の子で長男の〇〇、二男の□□と紹介してくれました。
その彼女が、今は退院して一人暮らしを始めて、B型作業所でも仕事を始めました。今は妄想はありません。
人間の頭のなかって本当に不思議なものです。(桐)
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