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2024年10月

2024年10月31日 (木)

同性婚禁止は憲法14条1項と24条2項に違反(東京高裁)

 2024年10月31日(木)、おつかれさまです。

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 3月14日の札幌高裁に続いて、10月30日東京高裁も同性婚を認めていない民法等の規定は違憲との判断です。憲法14条1項と24条2項に違反するとの判断を出しました。

 関係する憲法の条文は、

14条

① すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的又は社会的関係において、差別されない。

24条

① 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 山陽新聞に、すでに出された地裁6件、高裁2件の判決について、憲法のどの条項に違反していると判断しているか、一覧表が掲載されいているので無断ですが転載させていただきます。

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 自治体でのパートナーシップ制度はすでに440を超えます。ただし、今回の東京高裁判決は一歩進んで、同性間に配偶者としての法的身分関係を形成する規定を設ける方法としては、民法と戸籍法を改正して同性婚を認めるだけでなく、婚姻とは別の制度として婚姻の届け出に関する民法739条に相当する規定を新設する方法もある、と具体的な制度の構築に踏み込んでいます。

 司法書士としては、早く同性パートナーの戸籍も扱ってみたいし、遺言による遺贈ではなくて相続登記もしてみたいですね。いち早い法改正を望みます。(桐)

 

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2024年10月30日 (水)

事業承継のために現状の整備を

 2024年10月30日(水)、おつかれさまです。

 秋の雲って、いろんな形があって面白いですよね。見ていて飽きることがありません。

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 できればずっと空を見ていたいのですが、そうも行きません。今日こそはできる限り事務所から出ないで、溜まっている雑務を片付けようと思っていたのですが、いろんな電話がかかってきてなかなか思い通りにはいきません。

 秋の雲のようにいろんな仕事が舞い込んできます。司法書士法人備中サポートセンター倉敷事務所では、成年後見や相続関係の仕事が多いのですが、たまに変わった依頼が舞い込んでくることもあります。

 ある法人の昭和59年からの社員総会議事録や理事会議事録を精査し、不明点を抽出し、何人かの出資者に相続が開始している状況に対応するべく必要な書面を作成し、現時点での社員名簿を調製し、次の世代に事業承継をしていくための準備をしています。

 私の知る限り、地域の人々に必要とされ、次世代に承継され存続していくべき法人です。その存続のための内部的な整理の作業に着手しています。

 当事務所はこんな相談も引き受けています。事業承継が課題となっている会社・法人のご相談にも対応できるよう業務の幅を広げていきたいと思っています。お気軽にご相談ください。(桐)

 

 

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女川原発再稼働

 2024年10月30日(水)、おつかれさまです。

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 私は脱原発派なので、このニュースはとても残念です。いくら防波堤を高くして津波対策しても、直下型地震が起きたら、ミサイル攻撃を受けたら、テロリストに占拠されたら、第一核廃棄物の処理方法は何も決まっていない。日本には廃炉の実績さえない。

 考え直したほうがいいと思います。(桐)

 

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2024年10月29日 (火)

保護基準引下げによる減額処分取消(岡山地裁)

 2024年10月29日(火)、おつかれさまです。

 昨日、夕刊のテレビニュースでも速報で流れていましたが、岡山地裁判決は、原告38人中、亡くなった5人と外国籍の1人を除いて32人に減額処分を取消しました。今日の山陽新聞の朝刊です。

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 この一連の裁判については、高梁川日記でも度々取り上げてきましたが、全国の地裁に31件提訴され、現在判決が出ている29件のうち18件で減額処分が取り消されています。

 厚労省が決めた基準引下げにしたがって、2013年から15年までの3年間に全国の福祉事務所が行った保護費の減額を取り消すよう求めた全国一連の裁判で62%の裁判所で取消の判断が出ています。

 国の施策に問題ありとして裁判所が取消したということ、しかもこれほどの割合でそう判断したということは、いかに厚労省の基準引下げが「裁量権を逸脱」するひどいものであったかを示しています。

 基準引下げの結論を導き出す根拠として物価下落を挙げているのですが、そのデータの取り方に問題があって、たとえば何十万円もするような高級なテレビの値下げなど、生活保護受給者には関係のない高級品の価格下落が扶助費基準に反映されているのです。

 話は変わりますが、今日は独居高齢者の生活保護受給者とランチをしてきました。

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 月に1回程度、うどんとか、お好み焼きとか、私と一緒に外食をすることが人生の楽しみになってしまっています。なんとか他にも自分で楽しみを見つけてもらいたいものですが、なかなか・・・・。

 この方の場合、ある程度の年金を受給しているので、生活扶助はなく医療扶助だけで、しかも医療費に一部自己負担額が発生しています。年金が入るたびに口座引落が予想される金額を残して全額を降ろし、2つの封筒に半分ずつ小分けして1か月の生活費に充てているそうです。

 今年の夏は電気代の節約のために、エアコンは午後からの数時間しかつけないと決めていたようで、夜と午前中はずっと我慢をしていたそうです。

 裏金を受け取って所得税の申告もしない政治家さんたちには、この辛さはわからないでしょうね。落選した〇〇さんじゃないけど、「お助けください」なんて言いたいのは、政治家ではなくて物価高にあえぐ庶民の方です。(桐)

2013年7月24日「生活扶助基準等の見直しについて」

2023年3月30日 保護基準引下げを取消(さいたま訴訟)

 

 

 

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2024年10月28日 (月)

消滅時効にかかった債権の回収

 2024年10月28日(月)、おつかれさまです。

 自公が過半数割れでどうなるんでしょう。個人的には政界再編を期待していますが、そこまで行かないかもしれませんね。

 さて、業務日誌です。

 少々高度な債権回収方法を駆使する消費者金融があります。改正前出資法の上限利率が年利29.2%でサラ金が全盛期だった頃、香川県に本社を置き、中四国を中心に展開していた業者です。

(1)まず消滅時効にかかった貸金の請求訴訟を提起し、債務者が応訴しない限り欠席判決で債務名義を取得します。中四国で営業していたのに本店を関東の地方都市に移転し、その市の簡裁に提訴するのは応訴をしづらくするためでしょう。

(2)強制執行は動産執行で行います。奏功する可能性は低いのですが、裁判所執行官から期日を定めて立会要請通知書が届けば、普通の債務者は立ち会うでしょう。そのときに債務者と直接会って勤務先を聞き出します。

(3)勤務先を聞き出せば、次は給与の差押えです。つまり、動産執行は給与差押えにつなげるための手段にすぎなかったわけです。

 こうして本来は時効にかかって回収できないはずの債権を、給与差押えという最も確実な方法によって回収することができます。なかなか考えられた方法で、債権者の回収努力は見事だと思います。

 債務者としては、最初の訴訟の段階で放置しないことが大切です。訴訟を起こされたら、支払督促を申し立てられたら、必ず司法書士・弁護士に相談してください。

 ある依頼者のケースでは、貸金の残高は約3万円だったのに、放置している間に遅延損害金が膨れ上がってその10倍の金額を差押えられてしまいました。やはり放置しないことが一番大事です。(桐)

 

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2024年10月27日 (日)

仙崎から秋吉台へ

 2024年10月27日(日)、おつかれさまです。

 夜の仙崎の町には味わいがあります。

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 2013年8月13日以来、11年ぶりに金子文英堂訪れる予定でしたが、閉店時間に間に合いませんでした。残念!

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 1日に6本しか列車が来ないという夜の仙崎駅もとっても趣があります。

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 出川哲朗さんのサイン入りのバイクで秋吉台をツーリングしてきました。心の洗濯ができたので、明日からもがんばりましょう。(桐)

 

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2024年10月26日 (土)

さびれているけど

 2024年10月26日(土)、おつかれさまです。

 仕事の電話が何本もかかってきましたが、申し訳ない。今日は癒しの旅に出ています。行先は山口県長門市の俵山温泉。

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 温泉街の入り口です。温泉街と言っても湯治宿が両側に並ぶだけで、特にアトラクションがあるわけではありません。

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 しばらく歩いてもこんな感じ。昭和の時代の看板だけはたくさんあります。

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 昔ながらの銭湯のような "町の湯" です。このさびれた感じが島根の有福温泉に似ています。

 でもね、お湯は絶品です。今までで最高かも。とにかく後から温まります。できれば一週間ぐらい湯治客として留まりたい。

 俵山温泉、さびれているけど、お勧めです。(桐)

 

 

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2024年10月25日 (金)

今日は一日岡山でした。

 2024年10月25日(金)、おつかれさまです。

 ようやく秋らしくなってきました。晴れた日は、夕暮れがきれいです。

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 さて、業務日誌です。今日は朝から渋滞の中、岡山へ。通勤時間帯に倉敷から岡山への移動はたいへんです。

 午前中は、高齢被補助人の大学病院への受診同行です。無事終わって施設に送り届けた後は、岡山市役所建築指導課で相続した空き家の譲渡所得税の3000万円特別控除について書類確認をして・・・・。

 そして、午後のメインの仕事は25歳の被保佐人の通院同行。彼は、先週ほぼ2年ぶりに精神科を退院して初めての外来受診です。この一週間は順調に共同生活援助(障害者グループホーム)で過ごせています。

 入院中は理由あって病院に住民票を置いていたので、病院で選挙の投票権を受け取って区役所で期日前投票。もちろん初めての選挙で、けっこう緊張したみたいです。ついでにマイナンバーの申請もしてホームに戻りました。

 これだけのことをやって、岡山から倉敷の事務所に戻ると、もう18時。続いて古い抵当権の抹消についてお客さんと打合せ。破産事件と被後見人の死亡に伴う打合せがあって、20時20分にとりあえず終了。

 おつかれさまでした。(桐)

 

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2024年10月24日 (木)

看板刷新

 2024年10月24日(木)、おつかれさまです。

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 事務所の広告看板が新しくなりました。(桐)

 

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いくらなんでも

 2024年10月24日(木)、おつかれさまです。

 さすがにこれはないですよね、いくらなんでも。

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 公認候補の支部には公認料500万円+活動費1500万円、非公認候補の支部には活動費2000万円だそうです。

 原資は政党助成金、つまり我々の納めた税金です。冷静に腹立たしい思いです。(桐)

 

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2024年10月23日 (水)

被後見人等の選挙権行使について

 2024年10月23日(水)、おつかれさまです。

 インフルエンザ・コロナのワクチン接種と、岡山県知事と衆議院議員の選挙がいっぺんに来て大忙しです。ワクチン接種については10月10日の記事「成年後見人とワクチン接種の同意」に書いたとおりです。

 予防接種法上、本人にワクチン接種の努力義務があり、保護者である成年後見人は「予防接種を受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とあります。

 保佐人・補助人・任意後見人は、後見人のように同意権はないものの、本人の意思を確認できれば、予診票を代筆するものとして扱われています。

 他方、選挙権の行使についてはどうでしょう。

 平成25年3月14日東京地裁判決が、当時被後見人に選挙権を認めていなかった公職選挙法を違憲とし、その後の法改正で被後見人にも選挙権が認められました。

 でも、現実に被後見人の選挙権行使のための具体的施策が十分かといえば、そうではありません。投票所に出かけての代理投票、在宅での郵便投票、施設での投票などが、制度としてはありますが、いずれも条件がありハードルは高いと言わざるをえません。

 今日は施設入所者10人の方を順次訪問して、ワクチン接種と選挙の意思を確認して回りました。ある特養の被補助人さんが選挙に行きたいというので、私の車で期日前投票に行ってきました。

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 倉敷市のお隣の浅口市の期日前投票所です。足元が元気な方なので助かります。投票を終えて実に満足げな表情でした。

 もっと多くの方に投票の機会を保証したいのですが、施設に投票所を開設するのは困難でしょう。現状では、投票意思を持っていて動ける方を家族や後見人等が投票所へお連れするしかありません。

 もう一人、別の施設の被補助人ですが、友人が投票所に連れていく約束をしていたのですが、車いすの方を安全に連れていく自信がないとしてその友人が断念をされたようです。

 投票率を上げるために郵送投票とかオンライン投票とかスーパーでの投票なんかも検討されるこの頃です。体の不自由な方に選挙権行使の機会を、もう少しなんとかできないかと思うのですが。(桐)

 

 

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2024年10月22日 (火)

死亡後の市県民税納税義務

 2024年10月22日(火)、おつかれさまです。

 秋晴れという言葉もありますが、秋の長雨という言葉もあります。午後から雨でしたが、今週は天気が崩れるそうで、気になります。

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 事件の紹介者が、"シャトレーゼ" の詰め合わせをくださいました。"シャトレーゼ" って洋菓子専門と思っていたのですが、おかきもやっているんですね。とてもおいしいです。ありがとうございました。

 さて、業務日誌です。

 昨年7月に亡くなった被後見人の遺産を引き渡す際に、法定相続分どおりの遺産分割協議を成立させて、12月に現金で相続人5人に分配しました。

 相続人の一人の家族から電話がかかってきて、市から相続人全員の住所氏名を書けという書面が来ているけど、どうしたらいいかという相談でした。

 この方は5人の相続人のうち、1人しか住所氏名を知らないはずです。被相続人の両親が再婚で、いわゆる全血きょうだいと半血きょうだいがいて、その子の代、つまり甥姪が相続するパターンです。

 そもそも全血きょうだい同士でもほとんど付き合いがなかったようです。住所を他の相続人に知られたくないという方もいて、遺産分割協議書は連名方式ではなく、1枚の用紙に1人が署名押印する方式で5枚作成しました。

 市から届いたという書類を確認するために私宛に送ってもらったのですが、「市民税・県民税納税義務者(相続人代表)の届出について(お願い)」という文書でした。

 要約すると、(1)令和4年度の所得に基づき令和5年1月1日の居住者に市県民税が賦課される、(2)令和5年1月2日以後に死亡した場合は相続人が納税義務を承継する、(3)納税義務者(相続人代表者)を選任してほしい、という内容です。

 被相続人の死亡が7月、全財産を分配したのが12月、そして翌年10月に税金を払えと。うーん、もう少し早くできませんかね。

 同業者のみなさんはどうしているのでしょう。「負債は相続人〇〇が相続する」と定める場合もあると思いますが、住民税の請求が後々いくら来るかなんて行政に照会していますか。負債の額もある程度わからないと、負債を誰が相続するかなんて決められません。

 確かに、一年後に請求がくる住民税については、行政に確認をとってから遺産分割をした方が賢いかもしれませんね。でも、やっぱりもう少し早くできないかなあ。

 公用請求でゆっくり相続人を調べるのでしょうが、後見人がいることはわかるはずなので、早めに連絡をもらえればもっと早く処理できたはずです。公用請求も税金と労力の無駄だと思います。

 専門職後見人いて情報を持っているのですから、民間活力の導入というべきか、有効利用したほうがいいと思いますよ。

 でないと、死亡から1年以上も経って税の請求が来て「何をいまさら」とか、「みんなに請求しろよ」とか、そういう当たり前の反発が出ると思いますから。

 何年か前、同じような事案で、なぜ自分だけに請求が来るのかと反発し、絶対に払わないと言い切った相続人がいましたから。(桐)

 

 

 

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2024年10月21日 (月)

相続財産清算人選任申立の費用負担

 2024年10月21日(月)、おつかれさまです。

 シャインマスカットを生産者からいただきました。ありがとうございます。今年はシャイン一色と言ってもいいぐらい。アレキサンドリアは全くで、ピオーネも少なくなりましたね。子どもの頃食べていたデラウェアなんてどこに行ったのでしょう。

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 さて、業務日誌です。

 脳性麻痺と交通事故の後遺障害、そのうえ肺と心臓に疾患を持っていた〇〇ちゃんが、約3年前に亡くなりました。意思能力は十分だったので、成年後見制度は使わず、財産管理等委任契約と死後事務委任契約を締結しました。

 任意後見契約は締結しませんでした。この方の性格では無理です。認知症になったときに備えて・・なんて話をしようものなら、「わしがボケる言うんか!」と怒鳴り出しますから。

 この方のニーズは、(1)身体的苦しみを取り除く、(2)生活費を管理し、公共料金やヘルパーや病院への支払いをちゃんとする、(3)不動産を売って療養費をねん出する、(4)死んだ後に一応の供養をすること、(5)自宅に居ついた野良猫の面倒を見ること。

 (1)は医者の仕事ですが(2)~(4)なら司法書士にもできます。(5)はちょっと躊躇しますが・・・。結局、情に厚いヘルパーさんが引き取って介護事業所でお世話をしてくれています。

 契約時には、死後事務の範囲に「葬儀、納骨、埋葬、永代供養に関する事務」「相続人不存在の場合の相続財産管理人の選任申立手続」を入れておきました。これらは必須です。

 結婚せず、養子もとらず、両親は先に亡くなり、兄弟姉妹もいません。在宅生活が困難になった段階で住宅を売却し、預貯金を療養費に当て、死亡後は相続人不存在で遺産は国庫帰属という道筋を想定していました。

 死後事務だからお墓のことも決めておかなければなりません。両親の墓はあるはずなのですが、それがどこか、本人に聞いてもわからない。墓参りをしたことがないそうです。

 入院が常となり、医師から心臓と肺は1年持つかどうかと言われ、焦った私は、自宅に近いお寺から順に電話をかけて行って、5件目か6件目でヒットしました。「檀家さんです。お墓は確か・・・」。

 記憶力に優れた住職に助けてもらいました。お墓を案内してくださったのですが、美観地区の南側の歩いてしか登れない小高い山の途上、草ぼうぼうの中に2つの石塔が立っていました。車いすの彼に墓参りは絶対に無理です。

 逝去され、ご遺体を引き取り、お世話になった情に厚いヘルパーさんや中学時代からの腐れ縁という親友の方と一緒に収骨し、遺骨は私が預かりました。

 お墓の草取りをして、業者さんに彫刻をしてもらって、四十九日に遺骨を納めました。でも・・・おそらく誰も参ることのないであろう寂しい墓に納めて、それでハイおしまいという気持ちにはなれませんでした。

 生前、彼は「山へ連れて行って置いて帰れ」「池に落としてくれ」とよく言っていました。相当苦しかったのでしょうね。「死んだら犬にでも食わせりゃいい」と言うときもあれば、「墓に入ったら誰か参ってくれるかな~」というときも。

 契約書の委任事務の範囲に「永代供養に関する事務」を入れていたので、思いっきり拡大解釈して、2つの石塔の墓じまいをしてご両親や祖父母らの遺骨と一緒に永久納骨堂に入る契約をお寺と交わしました。

 当時、お寺は納骨堂建設を市に申請中で、許可が出て完成するまでに約2年かかりました。その間、死後事務受任者として彼の預金口座を預かったままです。

 墓石に刻まれた7人の改葬許可をとりました。永代供養料、墓石撤去費用、お布施などの費用は、けっこうな金額になりましたが、死者の口座から出すわけにはいかず、個人で立て替えました。 

 そして、墓じまいを終えた後に利害関係人として相続財産清算人選任申立てをしたという事案です。仕事としてやっているので特別縁故者として財産分与を受けるのは無理でしょうね、自分が払った分だけは遺産から回収したいものです。

 ここまでは前置きで、書きたかったのは以下の内容です。

 先日、相続債権者受遺者の届出期間が満了し、立て替えていた費用が清算人から返還されました。「申立時に納付した官報公告費用は請求できませんか」と尋ねたところ、清算人が家裁に確認をとってくれて、返還してよいとの回答を得たそうです。

 選任審判書には「手続費用は申立人の負担とする。」というお決まりの文句があり、多くの書籍にも「申立てにかかる費用は申立人負担」とされています。申立てにかかる費用とは印紙・郵券・官報公告費用とされているのが通常です。

 申立人である私は立替金を回収しただけで、何の利益も得ていません。800円の印紙と郵券、5000円強の官報公告費用を自己負担したことになります。よく訴訟費用は相手方からとってほしいという依頼者がいますが、気持ちがよくわかりました。

 それに死後事務委任契約の締結において委任者から相続財産清算人選任申立てを委任されているわけですから、それにかかる申立費用も全部委任者負担でもいいような気がします。 

 今回は公告費用を相続財産から出してもらったのですが、もし次にこんな申立てをする機会があれば、審判書には「手続費用は相続財産の負担とする」と書いてもらえないかなと思ったりします。チャレンジしてもいいかな。おつかれさまでした。(桐)

 

 

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2024年10月20日 (日)

穗井田小学校と福田公園

 2024年10月20日(日)、おつかれさまです。夜になると一気に寒くなりましたね。

 さて、業務日誌です。

 玉島陶の穗井田小学校で開催された障害者施設の運動会を観てきました。大勢の当事者と職員さん、家族とボランティアの方々が集まって、とってもいい雰囲気です。

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 彼は、軽度知的障害・統合失調症と診断されています。親亡き後、アパートで一人暮らしをしていましたが、他人の行為によってパニックを起こし、衝動的にサラダ油を撒いて火をつけ、その罪を問われて1年間拘留されていました。

 出所しても精神病院以外には行くところがなく、2つ目の病院で家裁に申立てがされ、私が関わり始めました。病院からグループホームに移ったのは大正解でした。日頃から真面目に働き(といっても彼のペースで)、今日も一生懸命玉入れをしていました。

 もともと大人しくて無口で、私にも未だに慣れてくれません。ただこの方を見ていると、障害のあるなしに関わらずすべての人に共通することかもしれませんが、居場所をちゃんと作ってあげることが大事だと感じます。今の施設が合っているんでしょうね。

 次に、一昨日から毎朝からしつこく電話がかかってくる独居の統合失調症の彼女を訪問。「玉子をもらったから取りに来て」。有名な高級玉子ですが、賞味期限が10日も過ぎています。夜にゆで玉子にしてみたら、やっぱり傷んでいました。

 彼女は時々、食中毒と思われる腹痛を起こして寝込むのですが、なるほどこういうことだったんですね。いつもらった玉子なのかはわかりませんが、冷蔵庫で保管するという発想はなかったようです。

 次に、90代の高齢ご夫婦のお宅から電話がかかってきて、つい先日名刺をお渡しした方ですが、書類の書き方がわからないというので行ってみると、介護保険課へ提出する住宅改修費の申請書でした。

 その次は、水島緑地福田公園でのいきいきふれあいフェスティバル。私の担当する被後見人が作業所単位で参加すると聞いていたので、応援に行ってきました。

 福田公園には、子どもが小さいときには公園北側のライフパーク倉敷によく来ていたし、ブラスバンドの大会があるときには体育館にも来ていたのですが、サッカー場を見るのはおそらく44年ぶりぐらい。

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 驚きましたね。天然芝が昔よりはるかにきれいになって、ちゃんとネットも張られていて、隣には人工芝のグランドが2面もありました。

 高校で初めて試合に出してもらえたのはこのグランドでした。オフサイドトラップをかけたのに線審が取ってくれなくて失点してしまいました。線審に文句を言うと監督に怒られました。

 公式戦で初めて得点を取ったのもこのグランドでした。ゴール前の味方を狙ってセンタリングを上げるつもりだったのに、ミスキックで直接入ってしまいました。

 昨日のお客さんが高校サッカー部の話をされて、たまたま今日福田公園に来て、ずいぶん昔のことを思い出してしまいました。その後は事務所で事務仕事。今日の私はこんな一日でした。おつかれさまでした。(桐)

 

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2024年10月19日 (土)

渉外事件の研修でした

 2024年10月19日(土)、おつかれさまです。

 今日は久々の雨でしたね。本来秋は雨が多い季節、一気に気温が下がるかもしれません。

 さて、午前中は、障害児支援の会社を起こそうとしている方との会社設立の打ち合わせ。なかなかたいへんなことだと思います。

 その次の相続登記のお客様は、なんと高梁川日記の読者で(ありがとうございます!)、ご主人は倉敷青陵高校の2年先輩とのこと。うーん、下手なことは書けませんね(笑)

 午後からは、岡山県司法書士会の研修です。テーマは「司法書士業務における渉外事件への対応について」。会がレジュメと資料を製本してくれて送付してくれました。これは実にありがたいです。

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 渉外事件というのは、関係者が外国人であったり外国に居住している方だったり、日本国内の手続だけでは解決できない事件。まずどこの国の法律が適用されるのか、準拠法から検討しなければなりません。

 私の場合、なんとかしないといけないのに止めてしまっている事件が2つあります。1つは相続人がアメリカにわたって連絡がとれないケース、もう1つは昭和初期にブラジルに移住しているケース。

 そして、もう1つ気になることがあります。日本で生まれ日本で育った韓国籍の方の補助人をやっているのですが、この方が亡くなったら相続はどうなるんだろうって。

 韓国籍の方は、死後に日本法か大韓民国法か、どちらの国の法律に従って相続手続をするか、遺言でその準拠法を指定できるんですね。今日初めて知りました。

 でも、相続人が誰なのか全く資料がないので、まずはそこからなんですが、この方、おばあちゃんに育てられて、自分の両親の名前も知らないんです。どうしたらいいんでしょう。(桐)

 

 

 

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2024年10月18日 (金)

10月26日 生きるを支えるフォーラム

 2024年10月17日(金)、おつかれさまです。

 お知らせです。

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 ご参加ください。(桐)

 

 

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20日は「いきいきふれあいフェスティバル」

 10月18日(金)、おつかれさまです。

 もう一つお知らせです。倉敷健康福祉まつりです。

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 ご参加ください。(桐)

 

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2024年10月17日 (木)

またまた悩む住所地特例

 2024年10月17日(木)、おつかれさまです。今日も暑かったですね。

 さて、業務日誌です。

 今日は朝から晩まで丸一日、事務所に戻ることもなく、岡山市南区→中区→北区→中区→南区→中区と回って、もうクタクタです。

 広汎性発達障害+中等度精神遅滞(精神年齢6歳9か月)と診断されている現在25歳の彼が、本日、医療保護入院から実質2年3か月ぶりに退院し、岡山市内のグループホームに入所しました。

 彼がパニックに陥るきっかけは、決まって他の利用者とのトラブルです。入院中も他の患者さんとの関係をうまく作れず、パニックから衝動的な暴力行動に発展し、多くの時間を鍵のかかる保護室で一人で過ごしました。

 今年に入って度々、退院→グループホーム入所にチャレンジし、一度は正式に入所して数日後にテーブルをひっくり返して病院に戻り、2度目の施設ではお試し宿泊中に施設の大型液晶テレビを割ってしまい、今回が3度目のチャレンジです。

 パニックになったときに、衝動的な行動に出る前に自分の気持ちを落ち着かせる方法を見つけることが、彼の一番の課題です。

 ところで、高梁川日記では2023年5月16日に「住所地特例と住居地特例」という記事を書いていますが、下記条文の解釈について悩んでいます。

国民健康保険法第116条の2第1項

 次の各号に掲げる入院、入所又は入居(以下この条において「入院等」という。)をしたことにより、当該各号に規定する病院、診療所又は施設(以下この条において「病院等」という。)の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者であつて、当該病院等に入院等をした際他の市町村(当該病院等が所在する市町村以外の市町村をいう。)の区域内に住所を有していたと認められるものは、この法律の適用については、当該他の市町村の区域内に住所を有するものとみなす。ただし、二以上の病院等に継続して入院等をしている被保険者であつて、現に入院等をしている病院等(以下この条において「現入院病院等」という。)に入院等をする直前に入院等をしていた病院等(以下この項において「直前入院病院等」という。)及び現入院病院等のそれぞれに入院等をしたことにより直前入院病院等及び現入院病院等のそれぞれの所在する場所に順次住所を変更したと認められるもの(次項において「特定継続入院等被保険者」という。)については、この限りでない。

 彼の住所と住民票上の住所は、A市→B市のX病院(住民異動せず)→B市のYグループホーム(住民異動)→B市のX病院(住民異動)→B市のZグループホーム(本日住民異動)と移転しているのですが、ただし書きの「順次住所を変更したと認められるもの」(特定継続入院等被保険者)に該当するような気がします。

 住民票をYグループホームに異動し、さらにX病院に異動していますから、ただし書きに該当するような・・・、であれば保険者はB市なり、住所地特例ではなくなります。

 このただし書きの規定を知らなかったので、B市の区役所窓口での住民異動届提出の際も、B市の区保健センターでの自立支援受給者証申請の際も、住所地特例が適用されるものとして申請し、職員さんからは何の指摘もなかったのですが・・・・それでよかったのでしょうか。

 そして、国民健康保険法施行規則第5条の2第1項の届出は、A市にすればいいのでしょうか、B市にすればいいのでしょうか。うーん、全然わからん。明日から訪問看護が入り保険請求が関係してくるので早く結論を出さないと。(桐)

 

 A市国民健康保険課に確認したところ、「順次住所を変更したと認められるもの」には当たらないようです。(10月18日追記)

 

 

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2024年10月16日 (水)

合祀の生前契約を3件まとめて

 2024年10月16日(水)、おつかれさまです。

 今日は岡山県司法書士会の理事会でした。会議時間は十数年前に比べればはるかに短くなったのですが、それでも15時から20時45分まではきついです。もう体力も気力もないし、仕事もいっぱい溜まっているので、早く会務から解放されたいというのが正直なところです。

 さて、業務日誌です。

 本日、ある霊園に合祀の生前契約を一度に3件申し込んできました。以前から知りたかったのですが、同業者のみなさんは、身寄りがなかったり法律上の親族は存在しても関係を拒否されていたりする場合に、亡くなられた被後見人等のご遺体をどうしているのでしょう。

 私の感覚では葬儀までは挙げるという方は多いと思います。「告別式」という形にするとお寺や教会などの宗教者を呼んで大仰になるので、「お別れ会」というような簡単な葬儀にすることが多いかと思います。

 平成28年10月の改正民法の施行によって、次のとおりとなりました。

第873条の2 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為

二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済

三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)

 こうした改正があったのも、成年後見人等がやむなく葬儀を主宰し火葬してきた事実の積み重ねがあるからだと考えます。

 火葬埋葬に家裁の許可が必要とされたのは、相続人との関係においてトラブルを防ぐ趣旨だと勝手に解釈しています。確かに法的な権限はなく、費用を遺産から支出するとトラブルにならないとも限りません。

 私は遺骨になった後の納骨については、できる限り生前に被後見人等ご本人の同意を得て、ある2つの公園墓地に合祀させてもらっています。以前は、宗派に関わらず受け入れてくれる大阪のお寺に遺骨を納めていたこともあるのですが、今は地元の霊園施設にお願いしています。まだ、家裁の許可をとったことはありません。

 ということで、3人の方の生前の意思確認をして、本日、合祀の契約をしてきました。必ず銘板を刻んでもらうようにしています。私はその霊園に月に1回程度お参りしますが、銘板を確認できればその方のことを思い出して手を合わせることができます。

 何十人もこの墓地に入ってもらったので、どうしても忘れてしまいます。私の記録力も減退していますし、言い方が変かもしれませんが、効率的に対応しなければなりません。

 親族がいて先祖の墓に入れてもらえる場合はそうしますが、そうでない場合は特定の霊園施設に集中的に合祀するようにしています。同業者の方々がどうされているのか、人それぞれだろうと思いますが、知りたいところです。

 ところで、10月20日(日)福田緑地公園にて「第31回倉敷健康福祉まつり いきいきふれあいフェスティバル」が開催されます。私の担当する被後見人の方も出店予定です。よろしければご参加ください。(桐)

ダウンロード - 20240926114645.pdf

 

 

 

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2024年10月15日 (火)

初めての限定承認

 2024年10月15日(火)、おつかれさまです。

20241015

 秋の空、衆議院選挙が公示されました。政治には無関心ですが、緊張感のある政局を望みます。

 さて、業務日誌です。

 司法書士になって23年、初めての限定承認に取り組んでいます。放棄すべきか、承認すべきか、よくわからないときは期間伸長するのが常道だと思うのですが、負債が全くわからないので一種の保険のようなものです。

(限定承認)
第九百二十二条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
(共同相続人の限定承認)
第九百二十三条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
(限定承認の方式)
第九百二十四条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

 共同相続人全員でするので、提出する戸籍も相続人全員を特定できるものでなければなりません。

 最近は、岡山家裁では相続放棄申述書に添付する戸籍は写しでいいという運用がされていますが、九州の某家庭裁判所でも同じようです。ちなみに、申述書に実印を押印し印鑑証明書を添付すれば照会を省略するなんて運用はしていないようです。(桐)

 

 

 

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2024年10月14日 (月)

室井さんを観てきました

 2024年10月14日(月)、スポーツの日だそうですが、全然運動していません。

 昨日今日で相続放棄関係の書類を3件、後見等業務の1年報告書を4件作成。起案する事務員さんのミスがほとんどないので、私の仕事は1年分の業務日誌を読み込んで上申書を作成することぐらいですが、これに時間がかかります。

 「よくまあ、これだけがんばったな」と、我ながら思う事案もありますよね。おそらく、その分、他の仕事がおろそかになっているんですけどね。

 さて、三連休だったので少しは気分転換です。

 昨日は「室井慎次 敗れざる者」を見てきました。実は事前情報全くなしで、2部作だということを知らないで行ったのです。展開が遅いな、全然進まないな、と思いながらも、要所要所のヒューマンドラマに感動しました。

 特にタカが母親を殺した犯人と向き合うシーンはいいですよね。室井さんがタカに「大きくなったな」と声をかけるシーンもいいです。夫婦で単純に感動して帰ってきました。

 ネットでは回想シーンの多さや展開の遅さに否定的な意見もあるようですが、作品の評価は、11月15日から公開される「生き続ける者」を観てからにしましょう。

 東京から帰ってきたという商店主いしだあゆみ、小沢仁志と飯島直子の酪農家夫婦、地区長の木場勝己、この辺の名脇役が事件の深層とどう絡んでくるのか、そしてあの手紙の内容は・・・続編が楽しみです。

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 今日は奥さんが飲み会だったので、夕飯は長男と2人で久々の外食でした。中華園の陳麻婆豆腐、石焼でグツグツしているところを動画に撮ったのですが、ブログへのアップの仕方がわかりません。

 美味しかったです。ごちそうさまでした。ああ、三連休が終わってしまった。(桐)

 

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2024年10月13日 (日)

市営住宅で孤独死した場合

 2024年10月13日(日)、おつかれさまです。

 昼はまだ暑いのでまだ半袖シャツだったり、でも朝はめっきり寒くなって上着が必要だったり、風邪をひかないようにお気を付けください。

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 某老人施設の玄関にいたカマキリです。秋の虫たちもあとわずかの命なのかもしれませんね。

 さて、業務日誌です。

 最近、相続放棄関係の相談が増えています。今、受けている事案は、

(1)顔も知らぬ伯母の相続で田舎の負動産がひょっとすると売れるかもしれないので期間伸長するケース

(2)亡夫の多重債務が発覚したがひょっとしたら過払いがあるかもしれないので期間伸長するケース

(3)単身独居の亡姉の相続で家も多少の預金もあるけど片付けられないので相続放棄するケース

(4)叔父が公営住宅で孤独死し火埋葬まではしたが部屋の片付けは無理なので相続放棄するケース

(5)再転相続で二次相続の被相続人に債務があるかもしれず限定承認するケース

 内容も方針も微妙に違いますが、単純に相続しないケースが増えているような気がします。

 気になるのは(4)のケースで、居住者の相続人が全員相続放棄したら県や市はどうするのでしょう。国土交通省は、平成29年1月25日国住備105号「公営住宅における単身入居者死亡後の残置物への対応方針の策定について」をまとめています。

 これに基づき多くの自治体で「市営住宅における単身入居者死亡による残置物の取扱に関する要綱」等が定められているようです。

 まずは、相続人に対し住宅の明渡し及び残置物の処理を依頼し、相続人が承諾したときは誓約書を提出させて住宅の明渡し及び残置物の処理を行わせ、相続人が住宅の明渡し及び残置物の処理を拒否したときは、少なくとも相続人の1人から相続財産放棄書兼処分依頼書を提出させ、市が残置物を処理し、当該処理にかかった費用を相続人へ請求するとされています。

 相続人がいない場合は県や市が相続財産清算人の選任申立てをするようです。倉敷市の場合もそうなるのかもしれません。県や市にしてみれば面倒ですが、自治体が相続財産清算人の選任申立てをする事案は増えるかもしれませんね。(桐)


 

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2024年10月12日 (土)

昨日に続いて特養巡り

 2024年10月12日(土)、おつかれさまです。

 被団協のノーベル平和賞受賞、実に素晴らしいです。長年にわたり語り訴え続けてきた被爆者の方々の活動が評価されました。受賞したからと言ってその労苦が報われるわけではありませんが、核廃絶の声がさらに大きくなるよう祈っております。

 ウクライナとロシア、イスラエルでの戦争で多くの市民の命が奪われている今、核と戦争の廃絶を願う全世界の市民のつながりができて、自らの権力に固執するため戦争という手段を用いる為政者を包囲することになれば、なんて夢でしょうか。

 また、ドジャースとパドレスのディビジョン・シリーズ第5戦、我が岡山県出身の山本由伸投手とダルビッシュ投手の投手戦になるなんて、もう最高のシチュエーションじゃないですか。リーグチャンピオンシップでは千賀滉大投手対大谷選手の対戦が見られるのでしょうか。

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、今日の業務日誌です。

 所用で特養入所中の被補助人さんと面会してきました。先月尿路感染症と誤嚥性肺炎を併発して入院したときは、もうダメかと思ったのですが、今日会ってみるとすごくお元気でした。

 最初会ったときは、私のことがわからなかったようですが、「ああ、社長か~」と。在宅時代はベッドからずり落ちてはSOSの電話がかかってきて、よく助けに行ったものです。

 昨日のパーキンソンの被補助人さんと同様、葬儀・火葬・納骨は全部私に任せてくれることになりました。

 同じ特養に入所中の被後見人さんと初面会。「初」といっても後見開始は1年7か月前、その間事情もあって今日までお会いできませんでした。目を開けてはくれませんでしたが、またいずれ来ます。ようやく施設内に入れるようになったので。

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 諸般の事情でぽっかり時間が空いてしまったので、施設の近くのお蕎麦屋さんへ。久々に粗挽き十割そばをいただきました。

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 ふくいちさんの蕎麦はやはり美味しいです。蕎麦湯もしっかりいただきました。ごちそうさまでした。(桐)

 

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2024年10月11日 (金)

瀬戸内の塩とほうじ番茶と死後のお話

 2024年10月11日(金)、おつかれさまです。

 先月に続いて安富牧場へ。前回は瀬戸内の塩とミルフィーユでしたが、今回は瀬戸内の塩とほうじ番茶を試してみました。けっこういいです。それぞれに美味しいのですが、混ざった部分、「塩味のほうじ茶」部分が絶妙です。

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 モンブランが出始めるはもう少し先だそうで、楽しみにしております。ごちそうさまでした。

 さて、業務日誌です。

 片道40分かけて足守まで出かけるのは、このジェラートが目的ではありません。目的は某施設に入所している被補助人さんとの面談です。

 昨日の高梁川日記に書いたのですが、インフルエンザワクチンの接種時期なので、厚労省予防接種室の令和3年3月24日付事務連絡に従って、本人の意思確認をして補助人として同意書の代筆をすることが一応の目的です。ご本人は接種するそうです。

 でも、もう一つ目的があって、本当はこちらの方がメインなのですが、ご本人の意識がしっかりしている間に死後の葬儀、埋火葬、お墓のことを決めておきたいと思って、率直に聞いてみました。

 意思表示ができるうちにお墓の希望を聞いておいたほうがいいですよね。今日面会したパーキンソンの被補助人さんは、いつも「早く死にたい、生きていてもしょうがいない」と言っているわりには、全然考えていなかったようで、私に任せると言ってくれました。

 逆に昨日の記事に書いた任意被後見人さんは、こだわりがすごかったです。不思議なもので、死んだ後のことは自分でわからないからどうでもいいという方と、わからないからこそ自分で決めておきたいという方と、はっきり分かれます。

 昨日の方はとにかく難しい方で、(1)死に装束はブルーの背広、(2)葬儀に親族は絶対呼ぶな、(3)棺桶に入れる物の指定、(4)読経を頼む僧侶は何人も面接した上で変遷し、(5)納骨は富士山の麓の〇〇寺の納骨堂、(6)納骨した後に親族に連絡、等々の取り決めがありました。

 しかも、指示の重要な部分がよく変更されます。富士山は噴火するかもわからんから、小笠原諸島のきれいな海に散骨してくれ・・・と言い出したときは、半分困って、半分旅行気分にもなりましたが。

 任意後見発効前には、まとめるとA4用紙1枚分ぐらいの指示があったのですが、任意後見発効後は「死んだ後のことなんか、わしにわからんのやからどうでもええやん」。うーん、私はどうしたらいいのでしょう。

 いずれにせよ、後見業務では、ご本人の意思表示ができるのであれば、ご存命の間に、死後のことを相談しておく必要はあると思います。(桐)

 

 

 

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2024年10月10日 (木)

成年後見人とワクチン接種の同意

 2024年10月10日(木)、おつかれさまです。

 今日は朝一番で井原市へ。秋らしい気持ちのいい風景が広がっています。

20241010

 任意被後見人に同行して広島県福山市の大病院を受診してきました。地元の病院で肺に影が見つかって大病院で検査せよとの紹介状をいただいたのですが、今月91歳になる方です、誤嚥性肺炎と尿路感染症を繰り返している方ですから、たとえ癌であったとしても積極的な治療は、私は望みません。

 この方と私の付き合いは14年目に入りました。ご家族は遠方にいらっしゃいますが、長年にわたり絶縁状態です。お元気な頃から、むしろ自ら家族を避けて遠ざけてきたと言った方が的確かもしれません。

 インフォームド・コンセントとは、あくまで本人の同意を求めるものです。もし「家族の同意」なんて言葉を出したら、この方は認知症になった今でも、「なんでわしのことに家族が関係するんや」とかなり反発されるでしょうね。

 とりあえず、医師の説明をわかりやすく伝え、とりあえず経過を見ていくということになったのですが、たぶんご本人は2~3日も経てば忘れているでしょうね。そんなもんです。

 この方の件に限らず、10月から施設や病院に行く度にコロナとインフルのワクチン接種の希望を聞かれます。ほぼ毎日のように書類で、電話で確認されます。ご存じのとおり、成年後見人には医療行為の同意権はありません。でも親族だってないですよね。

 ただし、予防接種法という法律があります。

(予防接種の勧奨)

第八条 市町村長又は都道府県知事は、定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種の対象者に対し、これらの予防接種を受けることを勧奨するものとする。

2 市町村長又は都道府県知事は、前項の対象者が十六歳未満の者又は成年被後見人であるときは、その保護者に対し、その者に定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けさせることを勧奨するものとする。

(予防接種を受ける努力義務)

第九条 定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種(B類疾病のうち当該疾病にかかった場合の病状の程度を考慮して厚生労働大臣が定めるもの(第二十四条第六号及び第二十八条において「特定B類疾病」という。)に係るものを除く。次項及び次条において同じ。)の対象者は、これらの予防接種を受けるよう努めなければならない。

2 前項の対象者が十六歳未満の者又は成年被後見人であるときは、その保護者は、その者に定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 同法第2条第7項は、「この法律において「保護者」とは、親権を行う者又は後見人をいう。」と規定しています。つまり、成年後見人は被後見人が予防接種を受けるための必要な措置を講ずる努力義務を負っています。

 そこで、厚生労働省健康局健康課予防接種室から各都道府県衛星主管部(局)に宛てた令和3年3月24日付事務連絡が発出されています。これによると、成年後見人は被後見人に代わって同意ができるという取扱いです。

 保佐人・補助人・任意後見人に同意する権限はないのですが、施設や医療機関から必ず意向は聞かれます。同業者のみなさんはどうされているのでしょう。

 私は、本人の身体的状態によって、接種すべきかやめておくべきかを判断しています。これは権限があるかないかとは別の話です。

 実はコロナワクチン接種をきっかけに体力が一気に低下して回復せずに亡くなった方もいて、後悔しているので、後見・保佐・補助の権限に関係なく体力的に弱っている方の場合は接種を避けるように私自身の意向を伝えています。

 今回の定期接種はあくまで任意なので、断った場合でも施設側は「わかりました」の一言で、終わることが多いです。本人が理解して判断できればいいのですが、補助はともかく保佐の場合はほとんど無理だと、私は思います。(桐)

 

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2024年10月 9日 (水)

遺留分侵害額請求に対して不動産で支払う場合

 2024年10月9日(水)、おつかれさまです。

 改正民法が2019年(令和元年)7月1日に施行され、ご存じのとおり遺留分減殺請求が遺留分侵害額請求に改められました。

 遺留分減殺請求権は物権的効力を有するとされ、生前贈与や死因贈与、遺贈や相続させる旨の遺言によって、すでにAに移転していた所有権は、Bが遺留分減殺請求権を行使することによって、Bに遺留分の限度で所有権が一部移転し、不動産は共有状態になります。

 全財産を長男Aに相続させるという遺言の場合、登記記録上、相続を登記原因としていったんAの単有となり、次に遺留分減殺を登記原因としてAとBの共有名義になります。この共有を解消する手続は共有物分割によると考えられています。

 ただし、相続人全員により遺産分割協議が行われ、共有を解消することが合意された場合は、遺産分割を登記原因として単有にすることも認められています。

 こうして令和元年7月1日より前に開始した相続については、遺留分減殺請求権の物権的効力によって権利行使と同時に共有となり、共有物分割若しくは遺産分割により共有を解消することになるわけです。

 しかし、令和元年7月1日以降は、金銭請求権に過ぎない遺留分侵害額請求に改められたことで、共有状態は生じません。

 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)(法務省民二第68号 令和元年6月27日)には、「上記改正により、従前の遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記の申請は、受理することができないこととなる。この改正後の規定は、改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され、同日前に開始した相続については、なお従前の例によるとされた(改正法附則第2条)。」と明記されています。

 そこで疑問ですが、Aに対してBの遺留分侵害額請求権が行使されたものの、Aが金銭の支払いを拒否し一部不動産の所有権を移転することで合意された場合、登記原因はどうしたらいいのでしょう。

 相続人がAとBだけならなんとでもなりそうですが、その他の共同相続人が協力してくれない場合はどうしたら・・・・解決したら、また改めて。(桐)

 

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2024年10月 8日 (火)

福祉事務所の移管じゃダメ?

 2024年10月8日(火)、おつかれさまです。

 検察の控訴断念により袴田さんの無罪が確定した今日は、昨日に続いて一日雨でした。少し寒いぐらいで、上着が手放せませんでした。実家で採れた今シーズン初の柿をいただきました。

20241008

 さて、今日は午前中に水島社会福祉事務所に生活保護の申請に行ってきました。といっても、倉敷社会福祉事務所で保護を受給していた方が水島社会福祉事務所の所管区域に転居されただけです。

 倉敷市は、本庁、玉島支所、水島支所、児島支所の4つの庁に福祉事務所を置いています。倉敷市内になんと4つもの独立した行政機関があるわけです。

社会福祉法

第14条  都道府県及び市(特別区を含む。以下同じ。)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならない。

2 都道府県及び市は、その区域(都道府県にあっては、市及び福祉に関する事務所を設ける町村の区域を除く。)をいずれかの福祉に関する事務所の所管区域としなければならない。

3 町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができる。

4~5 略

6 市町村の設置する福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務のうち市町村が処理すると定められているもの(政令で定めるものを除く。)をつかさどるところとする。

 全国の政令指定都市及び中核都市の82自治体では、252の福祉事務所が設置されているそうです。倉敷市に4つもの事務所があるのもうなづけます。

 率直な疑問ですが、同じ市内にあってそれぞれ独立した福祉事務所としていることにメリットはあるのでしょうか。

 倉敷の福祉事務所で保護を受けていた方が、水島に転居したからといって、申請をやり直さなければいけないのは面倒です。福祉事務所の所管区域を自治体と同じにして、各支所に福祉事務所の支所を置くのではだめなのでしょうか。

 そうすれば同じ自治体内で転居しても申請をやり直さなくても済むと思うのですが、何か不都合なのでしょうか。役所としても調査をやり直さなくていいですよね。また親族に照会をかけるのは面倒ですよね。

 何か理由があって福祉事務所の単位を大きくすることができないのであれば、福祉事務所間で案件を移管するという発想で、事務所間で情報を共有化して調査を省略できるようにすればいいと思うのですが、どうでしょう。

 単純に申請する側としては同じ市内で引っ越ししただけなのに、親族照会が再度行われたり、財産ないことがわかっていながら調査が行われたりするのが、無駄な作業ではないかと思うのです。申請書類を書くのも無駄ですし。(桐)

 

 

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2024年10月 7日 (月)

訴訟の手数料を納めすぎた場合

 2024年10月7日(月)、おつかれさまです。

 今日は一日雨で気温も下がりました。高梁川の土手では、彼岸より遅れて咲いた赤い曼殊沙華が今頃になって満開です。実家にうすピンクの彼岸花がいっぱい咲いているので。

 20241007

 さて、最近は過払金返還請求もめっきり減ってきまして、久々に訴状を作成したところ、ミスをしてしまいました。

 訴訟物の価額は元金であって利息は含みません。当たり前のことですが、請求の趣旨に利息込みの請求額を記載して、その請求額をそのまま訴訟物の価額とする間違いをしてしまいました。

 毎週のように訴訟をしていた頃には当たり前だったことを忘れてしまっています。まずは、この点反省です。

 次に、納めすぎた手数料の返還を受けるには、民事訴訟費用等に関する法律第9条の規定によります。

第9条 手数料が過大に納められた場合においては、裁判所は、申立てにより、決定で、過大に納められた手数料の額に相当する金額の金銭を還付しなければならない。

 申立によらなければならないので、納めすぎとの指摘を受けた場合は「手数料還付申立書」を提出して決定を待ち、決定が出れば会計課に還付請求書を提出することになります。

 ちなみに「最初にすべき口頭弁論の期日の終了前」に和解が成立するなどして訴訟を取り下げた場合は、同法第9条第3項第1号により、納めた手数料の2分の1の還付を受けることができます。

 最近は当事務所でも取り扱う訴訟事案が少ないので、一応備忘録として書きました。(桐)

 

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2024年10月 6日 (日)

森永ひ素ミルク中毒事件 岡山交流集会

 2024年10月6日(日)、おつかれさまです。

 自分で驚いたのですが、高梁川日記は、これで6003本目の記事です。2008年10月8日スタートなので、もうすく16周年。月日が経つのは早いもので、これからもあっという間に過ぎていくのだろうなって思って、少し感傷的になります。

 さて、ピュアリティまきびで、公益財団法人ひかり協会の岡山交流会が開催され、6月23日の守る会全国集会7月7日の守る会岡山県本部総会についで、私も被保佐人の付添いとして参加してきました。

 世の中は本当に狭いものですね。会場では、やはり付添いで来られた旧知の司法書士、昔全くの別件でお世話になった病院関係者の方、そしてやはり全くの別件で複数後見を一緒にやった社会福祉士さんと出会いました。

 被保佐人ご本人は、従前に入居していた障害者施設で働いていた方に出会いました。そして、何より全くの偶然ですが、以前ひかり協会で働いていた職員さんが、今グループホームの介護士として被保佐人のお世話をしているということ。

 うーん、偶然もここまで来ると、運命のように感じられます。

 集会では、森永ひ素ミルク中毒事件をめぐる裁判とひかり協会設立にいたる経緯について河田英正弁護士のお話を聴き、改めて歴史的に稀有な展開を見せた守る会の親たちの闘いに学び、感銘を受けました。

 そして、昼食。

20241006

 被保佐人さんは、嫌いなオクラ以外はしっかり召し上がりました。記念撮影をして、帰りには要望通りソフトクリームを食べに立ち寄りましたし、車いす生活ですが、食欲は極めて旺盛、元気な証拠です。

 14年目の訪問では、訪問した被害者の75%に知的障害・身体障害など何らかの異常がみられたと報告されています。彼女の知的障害の原因がひ素ミルク中毒のせいかどうかはわかりません。

 でも、自分では障害の原因にこだわることなく、誰かのせいにして嘆くこともなく、明るく、そして少々わがままに生きています。自分を否定しない、それだけで十分だと思います。(桐)

 

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2024年10月 5日 (土)

後見の管理計算は2箇月以内

 2024年10月5日(土)、おつかれさまです。

 朝夕が一段と寒くなり、ハツユキカズラがきれいです。体調を崩しやすい季節です。お気をつけください。

20241005

 さて、法律豆知識かつ業務日誌です。

 平成13年からお付き合いしている被後見人が6月上旬に亡くなり、4か月が経過して相続人への遺産引渡しがようやく完了しました。

民法第870条 後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、2箇月以内にその管理の計算(以下「後見の計算」という。)をしなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。

 管理の計算は2箇月以内なので、終了報告はできる限り早期にと心がけています。期限があるので、多少不明な部分があっても不明のままで財産目録を調製しています。

 たとえば、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は資格喪失日(死亡日の翌日)の属する月の前月まで月割計算で納付義務があります。市から納付の通知書が、死亡日から2か月以上経過して届くことは、よくあります。

 介護保険料は原則前納なので、被後見人等が死亡すると納めすぎた保険料の還付請求をしなければなりません。関係する機関が市区町村だけであれば還付金額はすぐわかるので、2箇月以内に調製する財産目録に記載することは十分可能です。

 ところが、介護保険料が年金から天引きされる特別徴収の場合、日本年金機構と市区町村との間で還付金の金額の調整が必要なため、計算が確定するのは数か月後、遅い場合は半年以上かかります。

 要するに被後見人等の死亡によって後見等が終了した場合は、本当に正確な管理の計算は2箇月以内では無理だと考えます。法律は終了報告時にそこまで厳密なものを要求しているわけではないと思います。

 ただし、相続人に引渡す財産について1円の間違いもないよう手続し、相続人に説明しなければなりません。私が担当する方で、6月上旬に亡くなった被後見人は2人で、1名の方については昨日遺産を送金し、本日報告書を郵送しました。

 もう1名の方の財産引渡しにはあと10日程度かかりそうです。相続人の中に相続放棄を申述された方がいたので、相続人を確定する段階で相当の時間がかかったわけです。

 管理計算は2箇月以内ということだけは心しておきましょう。(桐)

 

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2024年10月 4日 (金)

岐阜の卵投げつけ事件に思う

 2024年10月4日(金)、おつかれさまです。

 岐阜県川辺町の隣家への卵投げつけ事件ですが、懲役2年6か月の求刑だそうです。2019年から5年近くにわたって卵を投げられ続けたという隣人の気持ちを考えると、なんと言っていいか。

 毎日毎日片づけるのもたいへんですよね。臭いもすごいでしょうに。刑が確定したわけではありませんが、しばらくは平和な日常が戻るでしょう。でも、また2年半後には繰り返されるのかもしれません。

 検察は去年11月から今年8月までの間、100回以上としていますが、証拠で立証できるのがこの期間ということでしょうか。被害者は5年間に卵投げつけられたと言っているようです。

 卵だけでなく、それ以前にも隣人が引っ越してきた19年前から生ごみを捨てられるなどの迷惑行為があったようです。

 どうして? 何が被告人をそうさせたのかが知りたいです。どうしてこんなことができるのか。きっかけは何だったのか。精神鑑定とかしないのでしょうか。

 検察の求刑は懲役2年6か月ですが、そもそも刑事事件として罰を与えれば、何か解決する問題のようには思えないのですが。被告人の心理を解明して、更生のためのプログラムが必要なのでは。

 この被告人が逮捕されるときの動画を見て、その表情から、私が以前に警察官を出動させて保護させ、市長同意による医療保護入院で強制的に治療してもらったある女性の雰囲気によく似ていると感じました。

 こうした犯罪行為の原因が何なのか。おそらくこの被告人の内面に何かの要因があると思うのですが、そこを掘り下げていくよう報道があればありがたいなと思います。(桐)

 

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2024年10月 3日 (木)

借家の片付けと相続放棄

 2024年10月3日(木)。おつかれさまです。

 今日は雨で一気に寒くなりましたね。朝は長袖シャツに上着を羽織りました。気温の変化で体調を崩さないよう注意したいものです。

 さて、最近、相続放棄に関する相談が目に見えて増えています。ネット情報もあふれていて、極端な誤解をしている方も多いように思います。もちろん法定単純承認にあたる行為があれば相続放棄は認められません。

民法921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りではない。

二 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りではない。

 921条2号の、自己のために相続が開始したことを知ってから3か月経過した後は、原則として相続放棄ができない、ということは広く知られていますが、勘違いをされている方が多いのは1号の相続財産の処分です。

 Q 電気ガス水道の請求書が来ているが、払うと相続放棄できないのか。解約の連絡をすると相続放棄はできないのか。

 → 支払うために被相続人の預金を払い出した場合は、預金を下ろすという行為が1号の相続財産の一部の処分とみられる可能性があります。口座引落の場合は口座を凍結しなければいいだけです。コンビニ払いの場合、相続人が自分のお金で払うのは何の問題もありません。被相続人が一人暮らしの場合は、むしろライフラインの事業者に誰かが連絡するべきです。

 Q 大家さんから部屋を片付けて明け渡ししてくれと言われているが、片付けると相続放棄はできないのか。

 → 現金や宝石などの金銭的な価値のある物品を領得しない限り、価値のない動産をごみとして処分した程度では単純承認とはみなされないと考えます。

 Q 借金の督促状が来ていたが、払うと相続放棄できないのか。

 → 相続人が相続人のお金で払うのは自由です。被相続人のお金を使うと財産の処分に当たるので法定単純承認にあたると考えます。要は被相続人の財産を使うかどうかです。

 県外で独居の疎遠だった弟が孤独死し、法定相続人である兄弟が部屋を片付けて家主に明け渡したケースがありました。郵便物等を一定期間チェックして借金はないと判断して、遺産分割して預金を兄が取得し片付費用の支払いに充てたのですが・・・。

 コロナで働けなかった期間に勤務先の会社から多額の貸付けを受けていたことが、後で判明しました。貸付金の金額は預金の金額を上回っていたのですが、預金を遺産分割した行為が1号の法定単純承認にあたるので相続放棄は認められません。

 郵便物や個人信用情報機関での調査はもちろん、ケースによっては勤務先に連絡をとってみることも必要かもしれません。ただ、友人知人からの借り入れまではなかなか把握しずらく、判断が難しいところです。

 被相続人の死後に少しでも関わったら相続放棄はできないかのようにとらえている方が多いように感じたので。(桐)

 

 

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2024年10月 2日 (水)

出生届の届出人

 2024年10月2日(水)、おつかれさまです。

 昨日の続きですが、今晩も迷子になったみたいで雨の中お迎えに。転居日とその翌日に連続で迷子になるとは・・・なかなか強烈です。二度あることは三度ないように祈っております。

20241002

 さて、今日は法律豆知識です。

 職業柄、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の死亡欄はじっくり見ます。【届出人】親族〇〇〇〇 と記載されているのをみて息子さんが届出したのかとか、弟さんがしたのかとか。逆に出生欄は、【出生日】しか確認しないです。【届出人】が誰かとか全く注目しません。

 少し違和感を覚える戸籍がありました。出生欄に【届出人】父 の記載が一般的であるところ、【届出人】父母 と記載されていました。

戸籍法52条 嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚をした場合には、母がこれをしなければならない。

2 嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。

3 前二項の規定によって届出をすべき者が届出をすることができない場合には、左の者は、その順序に従って、届出をしなければならない。

 第一 同居者

 第二 出産に立ち会った医師、助産師又はその他の者

4 第1項又は第2項の規定によって届出をすべき者が届出をすることができない場合には、その者以外の法定代理人も、届出をすることができる。

 出産後、母はすぐには動けないので、父が届出をするケースが多いと思います。1項に「父又は母がこれをし」とあるのですが、父母が一緒に届出をすることも認められているようです。

 でも、出生届の用紙には届出人欄は1名分しか記載するスペースがありません。一つの欄に2名連名で書くのかなと思ったりしますが、もう1名はその他の欄に届出人〇〇〇〇と記載して押印するようです。

 これまで私が気づかなかっただけで、父母で届出人になるケースもけっこうあるのかもしれません。これからは注意して戸籍を見たいと思います。(桐)

 

 

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2024年10月 1日 (火)

初日からの迷子は想定内

 2024年10月1日(火)おつかれさまです。

 今日は「法の日」ということで、岡山県司法書士会は、倉敷市内で市役所本庁をはじめ5か所、県内で26か所で相談会を開催しました。

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 本当なら私も相談会に出席したいところですが、後見業務で多忙を極めています。9月27日の記事に書いた方ですが、今日から老健施設を出て一人暮らしを始めました。

 朝からアパートへ家電やベッドの搬入、ガスの開栓立会、ホームセンターで衣装ケース、テレビ台、ラック、洗面用具、風呂道具、食器類等々の購入から家具の組立作業。午後からケア会議、市役所で住所変更、携帯電話ショップへの同行。

 大学入学した自分の息子が県外に引っ越しするときも、親として何にもしなかったのに、他人のためによくやるわと、自分で奇妙にも感心してしまいました。施設から在宅介護へ移行するケア会議でも発言したのですが、心配なのは迷子になること。

 4月の長谷川式は29点、直近は22点で十分な能力を有していると考えられ、本人の強い意向で一人暮らしに舵を切ったものの、何回も行き来したのに、アパートの駐車場と自分の部屋の位置関係がわからなかったのには驚きました。

 今日はこの方の件で動き回って疲れてしまい、夕食後、風呂に入るのも忘れて板の間に転がって眠っていたら、警察からの電話で起こされました。コンビニへ買い物に行って帰れなくなり保護されたとのこと。

 初日からの迷子は想定内の出来事ではありますが、私の名前と職業を警察官に言えたようで、それは想定以上の出来です。今後もできれば迎えに行ける範囲で迷子になってほしいものです。(桐)

 

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