2024年10月21日(月)、おつかれさまです。
シャインマスカットを生産者からいただきました。ありがとうございます。今年はシャイン一色と言ってもいいぐらい。アレキサンドリアは全くで、ピオーネも少なくなりましたね。子どもの頃食べていたデラウェアなんてどこに行ったのでしょう。

さて、業務日誌です。
脳性麻痺と交通事故の後遺障害、そのうえ肺と心臓に疾患を持っていた〇〇ちゃんが、約3年前に亡くなりました。意思能力は十分だったので、成年後見制度は使わず、財産管理等委任契約と死後事務委任契約を締結しました。
任意後見契約は締結しませんでした。この方の性格では無理です。認知症になったときに備えて・・なんて話をしようものなら、「わしがボケる言うんか!」と怒鳴り出しますから。
この方のニーズは、(1)身体的苦しみを取り除く、(2)生活費を管理し、公共料金やヘルパーや病院への支払いをちゃんとする、(3)不動産を売って療養費をねん出する、(4)死んだ後に一応の供養をすること、(5)自宅に居ついた野良猫の面倒を見ること。
(1)は医者の仕事ですが(2)~(4)なら司法書士にもできます。(5)はちょっと躊躇しますが・・・。結局、情に厚いヘルパーさんが引き取って介護事業所でお世話をしてくれています。
契約時には、死後事務の範囲に「葬儀、納骨、埋葬、永代供養に関する事務」「相続人不存在の場合の相続財産管理人の選任申立手続」を入れておきました。これらは必須です。
結婚せず、養子もとらず、両親は先に亡くなり、兄弟姉妹もいません。在宅生活が困難になった段階で住宅を売却し、預貯金を療養費に当て、死亡後は相続人不存在で遺産は国庫帰属という道筋を想定していました。
死後事務だからお墓のことも決めておかなければなりません。両親の墓はあるはずなのですが、それがどこか、本人に聞いてもわからない。墓参りをしたことがないそうです。
入院が常となり、医師から心臓と肺は1年持つかどうかと言われ、焦った私は、自宅に近いお寺から順に電話をかけて行って、5件目か6件目でヒットしました。「檀家さんです。お墓は確か・・・」。
記憶力に優れた住職に助けてもらいました。お墓を案内してくださったのですが、美観地区の南側の歩いてしか登れない小高い山の途上、草ぼうぼうの中に2つの石塔が立っていました。車いすの彼に墓参りは絶対に無理です。
逝去され、ご遺体を引き取り、お世話になった情に厚いヘルパーさんや中学時代からの腐れ縁という親友の方と一緒に収骨し、遺骨は私が預かりました。
お墓の草取りをして、業者さんに彫刻をしてもらって、四十九日に遺骨を納めました。でも・・・おそらく誰も参ることのないであろう寂しい墓に納めて、それでハイおしまいという気持ちにはなれませんでした。
生前、彼は「山へ連れて行って置いて帰れ」「池に落としてくれ」とよく言っていました。相当苦しかったのでしょうね。「死んだら犬にでも食わせりゃいい」と言うときもあれば、「墓に入ったら誰か参ってくれるかな~」というときも。
契約書の委任事務の範囲に「永代供養に関する事務」を入れていたので、思いっきり拡大解釈して、2つの石塔の墓じまいをしてご両親や祖父母らの遺骨と一緒に永久納骨堂に入る契約をお寺と交わしました。
当時、お寺は納骨堂建設を市に申請中で、許可が出て完成するまでに約2年かかりました。その間、死後事務受任者として彼の預金口座を預かったままです。
墓石に刻まれた7人の改葬許可をとりました。永代供養料、墓石撤去費用、お布施などの費用は、けっこうな金額になりましたが、死者の口座から出すわけにはいかず、個人で立て替えました。
そして、墓じまいを終えた後に利害関係人として相続財産清算人選任申立てをしたという事案です。仕事としてやっているので特別縁故者として財産分与を受けるのは無理でしょうね、自分が払った分だけは遺産から回収したいものです。
ここまでは前置きで、書きたかったのは以下の内容です。
先日、相続債権者受遺者の届出期間が満了し、立て替えていた費用が清算人から返還されました。「申立時に納付した官報公告費用は請求できませんか」と尋ねたところ、清算人が家裁に確認をとってくれて、返還してよいとの回答を得たそうです。
選任審判書には「手続費用は申立人の負担とする。」というお決まりの文句があり、多くの書籍にも「申立てにかかる費用は申立人負担」とされています。申立てにかかる費用とは印紙・郵券・官報公告費用とされているのが通常です。
申立人である私は立替金を回収しただけで、何の利益も得ていません。800円の印紙と郵券、5000円強の官報公告費用を自己負担したことになります。よく訴訟費用は相手方からとってほしいという依頼者がいますが、気持ちがよくわかりました。
それに死後事務委任契約の締結において委任者から相続財産清算人選任申立てを委任されているわけですから、それにかかる申立費用も全部委任者負担でもいいような気がします。
今回は公告費用を相続財産から出してもらったのですが、もし次にこんな申立てをする機会があれば、審判書には「手続費用は相続財産の負担とする」と書いてもらえないかなと思ったりします。チャレンジしてもいいかな。おつかれさまでした。(桐)
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