支払督促には早めの異議申立てを
2024年11月2日(土)、おつかれさまです。昨日から今日の15時ごろまでずっと雨でした。ほんとによく降りましたね。
雨でなければ、昼は車いすの被保佐人を施設から連れ出して知的障害の息子と外食させ、夜は電車に乗って新見まで、亡くなった方の所有権留保の車を取り行く予定だったのですが、いずれも断念。しょうがないです。伯備線は安全第一で、すぐ止まりますから。ということで、今日は2件訪問しただけで、あとはずっと事務所で書類仕事でした。
ところで、備中サポートセンターは、以前は債務整理と裁判業務を主力でやっていましたが、ここ10年ぐらいは成年後見・財産管理が多く、最近はやはり相続登記が増えています。でも破産事件も少し増えてきたような気がします。
クレサラ時代が終わって入所した事務員さんは、登記はできても訴訟業務の知識は全くなくて、かくいう私も裁判関係では「あれっ、どうだったっけ?」と思うことが多々あるので、今日は自分の裁判業務の復習のための記事です。
先日、依頼者が支払督促正本を事務所に持参して「これって何ですか?」と聞かれたのですが、説明していて自分の頭に正確な知識がなくなっているのに驚きました。そこで、自分自身の頭の整理も含めて、今日は「支払督促」についての話です。
支払督促は簡易裁判所書記官の事務で、民事訴訟法の第7章の第382条以下に規定されています。
支払督促は債務者を審尋しないで発する(386条1項)のが特徴で、債務者は送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをすることができます(386条2項)。
異議を申し立てれば通常訴訟に移行し、異議申立てがなければ債権者の申立てにより仮執行宣言付の支払督促が発令され、債務者には2回目の督促が送達されます。
2回目は仮執行宣言付なので強制執行が可能となります。仮執行宣言付支払督促が届いたら2週間以内に異議申立てをしないと、財産を差し押さえられる危険性があります。
以上のように、支払督促が届いたら放置しておいてはいけません。消費者金融の全盛期、悪質な貸金業者は、債務者からの異議申立てがないことをいいことに、消滅時効が完成している債権を支払督促で確定させ、強制執行をかけたりしていました。
支払督促は債務者の言い分を聞かないで確定するので、既判力(一度確定判決をうけた事項については、当事者も裁判所もそれと矛盾する訴え・主張や裁判を行うことができなくなるという効力)を有しないとされています。
したがって、経験はありませんが、差押えを受けた後に消滅時効を援用することはできます。しかし、給与の差押えなどされたら、雇用問題にまで発展しかねないので早めに異議申立てをした方がいいでしょう。(桐)
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