親権の喪失・停止、管理権の喪失、親権・管理権の辞任
2024年11月22日(金)、おつかれさまです。とりあえず「いい夫婦の日」だそうです。
さて、2023年4月22日の「金魚が増えました」という記事から1年と7か月。先輩のらんちゅうは旅立ってしまいましたが、この2匹はとても元気です。水槽をきれいにしてくれた事務員さん、ありがとうございました。
さて、業務ネタですが、今日私の頭を悩ませていたのは "親権" です。
民法820条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
民法821条 親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなけばならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
親権というのは親の権利でもありますが、子に対する親の義務でもあります。実際の親の言動から、前者だけだと勘違いしているのではないかと思うことが多々あります。
民法834条 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父または母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りではない。
これは親権喪失の審判で、次条は親権停止の審判です。
民法834条の2 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の裁判をすることができる。
② 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
管理権喪失の審判というのもあります。
民法835条 父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。
親権には、子の監護・教育を行う身上監護権と子の財産を守る財産管理権の2つの内容があると考えられています。親に財産管理能力がない場合、財産管理権を喪失し、身上監護権のみを有する親権者となることもありえます。
民法837条 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
② 前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権の回復をすることができる。
親権喪失、親権停止、管理権喪失、親権又は管理権の辞任、以上の選択肢があって、次は、
民法838条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき
二 後見開始の審判があったとき
ここで、未成年後見の登場です。未成年後見の多くは親権者が亡くなっている場合ですが、親権者が存在する場合は、親権者から何らかの形で親権若しくは管理権を奪わないと、未成年後見はスタートしないということです。(桐)
| 固定リンク
「法律豆知識・登記実務」カテゴリの記事
- 相続関係説明図の記載について(2025.07.02)
- 不在者財産管理と口座解約(2)(2025.05.24)
- かんぽの特殊性(3)(2025.05.20)
- かんぽの特殊性(2)(2025.05.15)
- 固定資産税等の減免と滞納処分の執行停止(2025.05.08)
コメント