相続人でない人への遺贈
2024年12月11日(水)、おつかれさまです。
今日は「遺贈」についてです。読んで字のとおり、遺言で贈与するという意味です。
受遺者(もらう人)が相続人である場合とそうでない場合とで、手続は大きく変わります。
(1)単独申請か共同申請か
不動産登記法63条3項 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第60条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
2023年4月1日の改正法施行で、受遺者が相続人である場合は権利者による単独申請も可となりました。受遺者が相続人でない場合は原則どおり共同申請となります。
登記原因はいずれの場合も原則として「遺贈」となります(例外として相続人全員に財産の全部を包括遺贈した場合は「相続」となります)。遺言書に「遺贈する」とあれば、原則遺贈と考えていいでしょう。
相続人でない人に遺贈した場合、共同申請なので、財産をもらえない相続人にも登記義務者として協力してもらわなければなりませんが、困難な場合は家庭裁判所に遺言執行者選任申立てをします。
しかし、それは迂遠ですので、遺言書作成時に遺言執行者を指定しておくことをお勧めします。遺言執行者がいれば、受遺者と遺言執行者の共同申請となります。
共同申請であれば、添付書類として、登記識別情報(登記済権利証)及び義務者の印鑑証明書が必要となります。
(2)登録免許税と不動産取得税
受遺者が相続人である場合は1000分の4、相続人でない場合は1000分の20です。この違いはとても大きいので、遺言作成時に試算をしておくことをお勧めします。
また、相続人でない人が不動産の遺贈を受けた場合、不動産取得税が課税されます。原則として固定資産税評価額の4%、住宅と宅地に関しては3%です。宅地の評価額は2分の1に軽減されます。
要するに、相続人でない人に遺贈すると税負担が大きくなります。しかし、相続人に相続させるより、相続人の配偶者や相続人の子などに遺贈するほうが将来的な相続税の負担を軽減することになる場合があります。
相続人でない親族に遺贈することも相続税対策としてはありえます。ということで、本日は、相続人でない親族に遺贈する登記を申請しました。しかし、登録免許税は相続の5倍となるとやはり高いですね。(桐)
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