真正な登記名義の回復と農地法許可書の要否
2025年2月5日(水)、おつかれさまです。
北海道、東北、北陸辺りは大雪でたいへんなようです。滅多に雪の降らない倉敷でも冷たい風に雪が舞う日中でした。
さて、今日は登記の話です。弁護士さんに間違った説明をしてしまい、次回訂正をしないといけないので、備忘録として。
法改正により、2019年(令和元年)6月30日までに開始した相続については、物権的効果をもたらす遺留分減殺請求、同年7月1日以降に開始した相続については債権的効果しかない遺留分侵害額請求と区別されることになりました。
2019年6月30日以前であれば、「遺留分減殺」を登記原因として受遺者から減殺請求をした者に移転登記ができました。現在では受遺者に対して金銭請求しかできないので、遺留分侵害額請求をしただけでは移転登記はできません。
すでに受遺者に所有権移転登記がされていて、仮に受遺者の側に侵害額を支払うだけの資力がなく、不動産で払わざるをえないとしたら、どうやって登記名義を回復しましょうか。
2通りあると思います。(1)遺言により受遺者名義にした所有権移転登記を抹消して、相続を登記原因として請求者に移転させる2段階方式、(2)真正な登記名義の回復を原因として受遺者から請求者に直接移転する方法。
(2)において対象物件が農地であった場合、
「相続による所有権の移転の登記がされている農地について真正な登記名義の回復を登記原因として他の相続人に所有権を移転する登記の申請に関する農地法所定の許可書の要否等について(通知)」(法務省民二第1906号 平成24年7月25日)
という法務省民事局民事第二課長名の通知があります。結論として、農地法所定の許可書は添付不要です。(桐)
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