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2025年3月 5日 (水)

被後見人の財産の贈与の可否

 2025年3月5日(水)、おつかれさまです。

 今年は生産者からたくさんのスイートピーをいただいています。おかげで事務所が華やかになります。ありがとうございます。

20250305

 さて、業務日誌です。

 共有山林について被後見人の共有持分を贈与する登記を申請したところ、法務局から「後見人は被後見人の財産を減少させる行為はできないと思うが」との問い合わせをいただきました。

 私見ですが、「できない」というのは正確ではなく、「原則としてすべきではない」というのが正しいのではないでしょうか。

 居住用不動産であれば裁判所の許可が要件ですが、そうでなければ後見人に権限はあるわけですから、できないわけではないと考えます。

 「後見人が登記義務者を法定代理して贈与する登記の申請は受理すべきではないという先例がありますか?」「不動産登記法25条の却下事由に該当しますか?」「後見人は贈与登記を申請できないという判断は、形式的審査権を逸脱していませんか?」

 というような小生の私見を述べて、協議の結果、形式的審査権で判断できる範囲では却下事由はないということで受理されました。登記官からの要請で、本件贈与は被後見人の財産を減少させるものではないという申出書を添付しましたが。

 後見人は被後見人の財産を贈与できないというのは、やはり正しくないと思います。取得の経緯、後見開始前の本人の意思、対象財産の価値、受贈者との関係性、推定相続人の意向、贈与することで被後見人が得られる利益、あらゆる事情を総合的に判断すれば贈与してもよい事例はあると思います。

 田舎の山林・原野・農地なんて不動産ではなく「負」動産ですから。不動産はほしくない、お金を払ってでも誰かにもらってほしいという方はいっぱいいます。相続土地国庫帰属制度なんてまさにそうです。

 そういう時代に、とりあえず固定資産税評価額がついているから、100円でもいいから有償譲渡でないと認めない、というような役所的考えはもう時代遅れではないでしょうか。

 今日は、被後見人の資産を贈与することができないことはないという報告でした。あくまでも「できないことはない」であって、積極的に肯定するものではありません。おつかれさまでした。(桐)

 

 

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