民法1011条1項への疑問
2025年3月13日(木)、おつかれさまです。
病院通いのプロと言ってもいい被補助人さんから、「今週は4つも病院に行ってたいへんじゃった」と電話報告があったのですが、私は今日1日で4件の病院訪問をしております。それも総社、水島、岡山市内2か所と、移動時間がハンパないです。ドコデモドアがあれば便利なんですが。
さて、今日のネタは遺言執行者の任務について。
子のない夫婦の場合、夫が妻に全財産を相続させる、あるいは妻が夫に全財産を相続させる、もしくは夫婦双方が互いに相続させるという遺言を作ることが多いです。そして、そういう遺言の遺言執行者に指定されることもよくあります。
民法1007条2項 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
民法1011条1項 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
前者の遺言の内容の通知は、当然のことだろうと思います。遺言の内容は全相続人に対して開示されるべきです。
後者の財産目録の交付については、私は別の意見です。第一順位及び第二順位の相続人は遺留分を有しているので、遺留分侵害額請求を検討するためにも遺言者の財産状況を知る必要があります。
ただ、遺留分を有しない第三順位の相続人に対して財産目録を交付することに何か意味があるでしょうか。全財産を配偶者に相続させるという遺言内容の通知だけで十分ではないでしょうか。
もし意味がないとすれば、故人の財産状況というプライバシー情報を、取得する権利のない第三者にまで開示するのはいかがなものかと。
今日の事案もまさにこういうケースでした。亡くなった遺言者Aさんは、縁の薄い甥姪にまで自分の財産状況を教えるなんて、おそらく想定していなかっただろうなと・・・財産目録を作りながら、そう思った次第です。(桐)
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