表題登記の本当の義務化を考えるべきでは
2025年3月9日(日)、おつかれさまです。
相続登記のお客さんからハタダのふわどーるをいただきました。ありがとうざいました。
この登記で一番大変だったのは、土地家屋調査士さんだったろうと思います。
被相続人が所有する2筆の土地の上に奥さんとの共有名義の住宅が建っているのですが、増築に増築を重ねていて登記簿と全く合致しません。
増築部分の一部の納税義務者は、県外に出て実家とは全く疎遠になっている長男であるという不思議な状態です。
長男を探し出して、被相続人の土地所有権と建物共有持分を二男に相続させる遺産分割に協力してもらい、長男名義の増築部分については贈与してもらって表題部を変更するというスキームで、登記完了まで4か月かかりました。
不動産登記法
第47条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
第51条 第44条第1項各号(第2号及び第6号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。
要するに、建物を新築したり、増築したりした場合は、1か月以内の表題登記を起こしたり変更したりしなければならず、これを怠れば10万以下の過料が課されています(不動産登記法第164条)。
ということで、依頼者は、相続をきっかけに、建物の一部未登記状態を完全に解消しようとしたわけです。素晴らしい順法精神です。
最近、デイリー新潮が、自民党森山幹事長の鹿児島の豪邸が25年間未登記で法律に抵触する状態だと報じました。現実、住宅ローンを借りず自己資金で建てた家は、かなり多くが未登記で違法な状態です。恥ずかしながら私の実家もそうです。
法律に明記されている以上、登記はしなければならないのですが、それが建前だけになってしまっているのは、過料を定めた164条が一部死文化しているためです。
昨年4月1日から相続登記が義務化され、相続により不動産を取得して3年以内に登記をしなければ、10万円以下の過料が課されることになりました。
建物表題登記に関する過料は法に明記されていても課されていないのに、相続登記と住所変更の登記だけ過料を実施するのは困難なような気がします。
本気で相続登記を推進したいのであれば、建物表題登記から一定の期間を定めて十分な告知を行ったうえで、実際に運用してはどうかと思うのですが、どうでしょう。
そうでないと、自己資金で建築する場合、今も多くの未登記建物が生み出されているという、現実を変えることはできないと思うのですが。(桐)
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