かんぽの特殊性(1)
2025年5月14日(水)、おつかれさまです。
今日は暑かったですね。車の気温計は27℃まで上がりました。
実家の庭に咲いていました。ドイツアヤメというのだそうです。この色合いが好きです。
さて、今日は法律豆知識です。
死亡保険金の受取人が被保険者よりも先に亡くなった場合、一般的な生命保険では受取人の法定相続人が受取人になります。
保険法46条
保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。
たとえば、子のない夫婦の夫が妻を受取人に指定し、妻が先に死亡した場合、夫が改めて受取人を指定しない限り、妻方の法定相続人(直系尊属もしくは兄弟姉妹・甥姪)が受取人になります。
受取人を自分の親や兄弟姉妹等にしたい場合、受取人指定を変更しなければなりません。
死亡した妻名義の預金や不動産についてうっかりして相続手続を忘れることはないでしょう。被保険者となっている保険契約ならともかく、受取人となっている保険契約は気づきにくいですよね。
ところが、郵便局の簡易生命保険(かんぽ)は、一般的な保険と全く違います。
簡易生命保険法55条
1 終身保険、定期保険、養老保険又は財形貯蓄保険の保険契約(特約に係る部分を除く。)においては、保険契約者が保険受取人を指定しないとき(保険契約者の指定した保険受取人が死亡し更に保険金受取人を指定しない場合を含む。)は、次の者を受取人とする。
一 被保険者の死亡以外の事由により保険金を支払う場合にあつては、被保険者
二 被保険者の死亡により保険金を支払う場合にあつては、被保険者の遺族
2 前項第二号の遺族は、被保険者の配偶者(届出がなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに被保険者の死亡当時被保険者の扶助によって生計を維持していた者及び被保険者の生計を維持していた者とする。
5 第二項に規定する遺族が数人あるときは、同項に掲げる順序により先順位にある者を保険金受取人とする。
年金と同じで、民法にはない「遺族」という概念が登場します。
先ほどの子のない夫婦の例では、一般的な生命保険では妻の法定相続人が受取人となるのに対して、かんぽでは被保険者の遺族ですから夫の側の兄弟姉妹などが受取人となります。
かんぽの特殊性は、ほかにもありますが、また時間があるときに続きを書きたいと思います。(桐)
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