業務日誌

2025年6月21日 (土)

法が想定した本来の後見制度

 2025年6月22日(日)、おつかれさまです。日曜出勤の事務所スタッフのみなさんも、おつかれさまです。

 一度は消えた梅雨が戻ってくるという予報なので、期待しながら雨を待っています。連日の暑さに夏バテ気味の私は、雨が気温を下げてくれればいいなと。

 我が家のリビングでは、一週間前の花束のひまわりがまだなんとか持っています。

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 さて、業務日誌です。

 2024年4月28日「後見人が代理して行う担保提供と保証の可否」という記事の続きです。

 担保提供については、被後見人の居住用建物の敷地から分筆して分離すれば居住用不動産処分許可の必要はなし。保証については、私が拒否したので、銀行が土地所有者である被後見人の保証はなしで、融資を通してくれました。

 こうしてお孫さんはおばあちゃんの土地にマイホームを建てることができたのですが、その数か月後におばあちゃんは亡くなりました。結果論ですが、もう少し待てば成年後見制度を使わなくても・・・。

 そんなことで後見業務は終了し、遺産分割・相続手続も終了し、本日ご家族に報告したところです。

 かなりやり手のおばあちゃんだったようです。自己名義のみならず息子名義の預金通帳の管理、賃貸物件の賃料収入の管理、確定申告まで全部自分でやっていたそうで、施設入所後にベッドの下から大量の書類が発見され、家族が初めて祖母の財産を知ったとのこと。

 全く何の引継ぎもなく税務申告を任されたお嫁さんは、本当にたいへんだったろうと思います。お孫さんの家を建てることがきっかけになって、おばあちゃんの財産の全容が明らかになりました。ご家族の多少のお役には立てたのかなと思っています。

 ありがたいことに施設との連絡や物品の購入など事実行為は全部家族がしてくれて、私は主に財産に関する法律行為のみを担当。なるほど本来法律が想定した後見制度はこういうものなのだろうと考えさせられました。

 ご家族の皆様も本当におつかれさまでした。(桐)

 

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2025年6月20日 (金)

スピード審理を

 2025年6月20日(金)、おつかれさまです。

 紫陽花の花はあちこちで見ますが、全然雨が降りませんね。連日35度近く上がった気温も、少しは落ち着くようですが、体調にはお気を付けください。いつも一輪挿しをありがとうございます。

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 先週は新規の保佐開始申立を1件、今週は後見を1件、補助を1件。いずれも急いで審判を出してもらいたい案件ですが、月曜日に倉敷支部に出した後見事件が中2日で木曜日に開始審判が出ました。ありがたいです。

 先週家裁の某出張所に出した保佐や、今日別の出張所に出した補助は、相当時間がかかると思います。窓口で口頭で「急いでいます」と告げて迅速審理の上申を読んでもらいましたが、「2か月ぐらいかかりますと説明するようにしています」と書記官。

 管轄裁判所によって処理スピードに大きな差がある点をなんとか是正できないかと、これは要望です。(桐)

 

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2025年6月17日 (火)

もう少ししっかりしてほしいけど

 2025年6月17日(火)、おつかれさまです。今日はもう1本書くので、お付き合いください。

 ある病院からの相談です。入院患者の息子さんが親の年金を使い込んで入院費を払ってくれない。息子さんの携帯は止められていて訪問するしかないが、行ったところでお金がないことには変わりがないので、どうしたものかと。

 病院のケースワーカーはここまでしなきゃいけないのかと思いながらも、同情半分でお引き受けして、年金支給日の午前8時30分にケースワーカーと一緒にご自宅を朝駆けしました。

 生活保護の申請をしたらしいと聞いていたので、事前に福祉事務所の調査担当に連絡して、親子の世帯分離を検討してもらうことをお願いしておきました。

 そして、自宅に行ってみて息子さんと話をしてみると、なかなか要領をえない。意思疎通はできるけど、ちょっと不安。車はガス欠で動かないらしい。

 年金を一定額下して未払入院費の一部に充当するようケースワーカーに助言し、法テラスの民事法律扶助を使って、意思能力のない入院中の親には成年後見人をつけることにして、息子さんには各種委任状に署名押印してもらい、その日は終了。

 昨日私が不在のときに、息子さんが相談したいと事務所に来られたとのこと。気になって今日家に行ってみると、携帯電話料金の滞納が10万円以上あるという話。いやいや申し訳ないけど、お金を貸すことはできません。

 床の上に転がっていた息子さんの残高ゼロの通帳を拝見すると、半年ほど前まで給料の振り込みがある。失業保険はもらっていないのかと聞くと、そんなのはもらっていないとのこと。

 法テラスの手続上、離職票の写しが必要なので、とりあえずハローワークに行ってみようと誘い、同行したのですが、窓口職員さん曰く「離職票は提出されていて失業給付の申請はされている、ただ認定日に来られていない」と。

 本人に聞くと「来いと言われた日にガソリン代がないから行けなかった」。これで消滅した失業給付金は合計でなんと約70万円。これだけもらえていれば、親の年金に手をつけることもなかったでしょうに。

 ご本人の話を聴くと、ガソリンスタンドで100円分入れてくれと言ったら入れてくれなかったとか、近所の中華料理屋が月2万円分まではツケで食べさせてくれるとか。

 今日だって私が家に行ったときは、路上でガス欠で車が動かなくなっていて、銀行に行こうと思ったのだとか。ガス欠だって自分で言ってたのに、銀行まではいけるかと思ったらしい。しかたないから押しました。

 貧困っていうのは、こういうふうに当事者がもう少ししっかりしていればなんとかなるケースもあるのですが、そうは言ってもしっかりしていないのだからしかたない。しっかりしていないのを責めたところで、誰のためにもならない。

 今日は、誰かが一歩踏み込んでみると解決方法が意外とあったりして、という体験談でした。まあ、それでも本人がしっかりしていないことに変わりはないので、継続的な世話焼きが必要なのですが・・・それにしても70万円はもったいない。(桐)

 

 

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山形のさくらんぼ

 2025年6月17日(火)、おつかれさまです。

 毎年いただくのですが、山形のさくらんぼを送ってくださいました。ありがとうございます。

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 送ってくれたのは、Nさん(御年98歳5か月の女性)。私が担当する任意後見契約の受任者で98歳超の女性はお二人です。お二人ともボケる気配は微塵もありません。

 頭の健康の秘訣が何なのかはわかりませんが、お二人に共通するのは、自分の周囲の人を喜ばせるのが好きだということ。人と人の付き合いの中で人を喜ばせることで自分のエネルギーにしているのかもしれません。

 山形のサクランボは、2年連続で壊滅的な不作と聞いています。農家の皆さんのご努力にも感謝しながら、事務所スタッフでいただきます。ありがとうございました。(桐)

 

 

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2025年6月13日 (金)

年金と保護申請のタイミング

 2025年6月13日(金)、おつかれさまです。

 備中サポートセンターのOBから小布施ワイナリーのロゼをいただきました。ありがとうございます。もうじき家族の誕生日なのでナイスタイミングです。後ほどじっくりいただきたいと思います。

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 さて、業務日誌です。

 今日は年金支給日です。4月改定で6月支給分から1.9%値上げ、A君の障害年金は2か月17万円から17万3230円に。けど、物価上昇率にはほど遠く実質的には目減りです。大好きなカップ焼きそばも思うようには買えません。

 認知症のKさんは、国民年金+生活保護で生活していましたが、施設入所後収支が黒字になり保護廃止となりました、年金だけでは施設利用料が払えないので収支は赤字になり、預金残高がゼロに近くのを待って再度の保護申請になります。

 問題は再度の保護申請をするタイミングです。昨日の段階で預金残高は1200円ほど。毎月10日請求される施設利用料の5月分は払える状態にありません。「今でしょ」と思うかもしれませんが、そうではありません。

 仮に年金を受け取る前の昨日に保護申請したとしたら、未払いの5月分利用料全額が負債となり、申請翌日に振り込まれる2か月分の年金は収入認定されてしまいます。

 生活保護費は債務を弁済するためには支給されません。つまり債務は支給額の計算に影響を与えず、逆に収入認定された収入額は保護費の計算からマイナスされます。

 ということで、Kさんの場合は、昨日申請していれば6月の保護費はゼロとなります。今日支給された年金で未払いの施設利用料を払って負債を消して、週明けに申請すれば6月の残り半月分の保護費が支給されます。

 実は、今朝の相談も同様の案件でした。すでに生活保護申請したOさんに、親の年金を受け取って支払いが遅延している親の入院費を払った後に、再度保護申請をするようアドバイスしたところです。

 保護申請のタイミングは、いくら所持金が少なくても月内に確実な収入が見込めれば、その収入で債務を支払ってからの申請するのが原則です。(桐) 

 

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2025年6月10日 (火)

穣るほど・・・

 2025年6月10日(火)、おつかれさまです。

 中国地方も昨日から梅雨入りで、今日は朝から土砂降りでした。事務所のスタッフがいつも洗面所に季節の花を差してくれます。青い紫陽花って大好きです。ありがとうございます。

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 さて、高梁川日記の筆者は、自分のことは棚に上げて他人のことを悪く書くことが大好きです。特にお役所、政治家、金融機関、携帯電話会社、医者はターゲットにされやすいです。

 特に医者にはすごい人がときどきいます。

 過去には、認知症高齢者の施設入所に際し、施設の嘱託医宛に情報提供書を書いてもらいたいとお願いしたところ、「医療が主、介護は従、主治医に断りなく施設入所の話を進めるとは何事か」とケアマネを叱りつけた白い高級ベンツに乗っている整形外科医とか。

 Aさんの受診で来ているのに、同席していた施設関係者に「紹介されたBさんね、X先生の診断は間違いでね、私が正しい診断を出しておいたから。あれ、知らない人はよく間違うんだよね」と、Aさんにかまわず、誤診を自分が正したと得意げに演説する内科医とか。

 まあ、患者側に付き添っていろんな医者を見てきましたが、今日の2人の精神科医には頭が下がります。

 午前中は開業医のO先生。ここのところご無沙汰しておりましたが、以前は精神科系の受診歴がない方について、後見等開始申立書添付の診断書を書いてもらうために、よくお願いに上がりました。

 被保佐人の受診に同行したのは薬の調整をお願いするため。両腕が大きく、足や顔も震えます。それでタバコを吸うのですから、口に咥えた紙タバコを畳の上に落としてしまう。もし火がついていたら。

 そんな生活状況を説明すると、「リスパダールを抜きましょう」。統合失調症の幻聴幻視を抑えるために、いろんな薬を試してみてようやくこの薬に落ち着いたらしいですが、支援者の意見を聞いてすぐに方針を決めてくれる。

 何よりもパソコンではなくて患者の顔を見て、患者と会話をしながら診察を進めてくれる。とても腰の低い先生です。

 午後からは医療保護入院の退院支援委員会でお世話になったY医師。19年ぶりの退院を目指しているのですが、医師は幻聴幻視の症状を治癒できないのが不安らしく、会議終了後、後見人の私に正対して「〇〇君のこと、どうかよろしくお願いします」。

 お医者さんにあんなに深々と頭を下げられたのは初めての経験です。穣るほど頭を垂れる稲穂かな という言葉がありますが、見習いたいものです。

 想像ですが、精神科の治療って本当に難しいんですよね、なかなか目に見える成果が出てこない。だから、本気で精神医療に取り組んできたベテランの医師ほど医療の限界を知っていて、患者本人や支援者に対して謙虚なんだと思います。

 繰り返しますが、お医者さんにあんなに頭を下げられて頼まれたのは初めてです。(桐)

 

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2025年6月 8日 (日)

人生いろいろですね

 2025年6月8日(日)、おつかれさまでした。

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 親族がいなかったり、いても誰も遺骨を引き取ってくれないケースは、比較的安く合祀してもらえる納骨堂に納めさせていただくようにしています。

 今日は2人のYさんの一周忌と納骨法要でした。日々の業務が忙しすぎて、いろんな方の情報で頭がいっぱいだからでしょう。亡くなってまだ1年しか経っていないとは自分でも意外でした。

 1人のYさんは行年95歳、大往生です。平成23年から13年間の付き合いでした。この方のためにできたことと言えば、産んですぐに離婚し手離してしまった娘さんを探し出して引き合わせたことぐらいです。

 本来なら再婚した亡夫の墓に一緒に入るべきですが、ご本人がしっかりしている間にその墓を探し出すことができず、死後も手を尽くして探しましたが、かないませんでした。

 もう1人のYさんは行年68歳、認知症ではなく高次脳機能障害。脳内出血の原因は事故ではなく事件だとか、その筋の方から保険金を狙われているとか、そんな情報もあって救急搬送された病院から依頼されて受任しました。

 住所を秘匿したまま、お付き合いは11年間、面会の度にじっと見つめてくれるのですが、彼の声を聴くことは一度もありませんでした。死亡後に、幼くして手放した娘さんと連絡が取れ、わずかな財産は、その筋の方ではなく娘さんに渡すことができました。

 人生いろいろですね。こうして思い出すことが供養になればと思います。(桐)

 

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2025年6月 6日 (金)

人手不足か 能力不足か

 2025年6月6日(金)、おつかれさまです。

 田植えシーズンになり、蒸し暑い日が続きます。白いヤマアジサイがとてもきれいです。

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 さて、業務日誌です。

 今日は、(1)気分変調症の被保佐人を訪問して生活費を届け、(2)岡山市北区の精神科病院でうつ病の方と面会して民事法律扶助の手続を説明し、(3)昼までに倉敷に戻り強迫性障害の被補助人と面会して生活費を届け、(4)岡山市南区の精神科病院へ中等度知的障害・広汎性発達障害の被保佐人の通院介助と関係者と今後の打合せ。

 事務所に戻る頃には、事務員さんもみんな退社していて、一人で21時まで業務記録をつけたり、書類を整理したり、電話の対応をしたり。後見業務が多い関係で、どうしても外に出て当事者とお会いする時間が長くなります。そうすると本来の司法書士の仕事であるはずの書類作成の業務がたまってしまいます。

 私の能力不足なのか、人手不足か。まあ、能力なんてこの年齢になると衰えることはあっても発達することはないですから、やはり後者で解決するしかないのでしょうか。(桐)

 

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2025年6月 1日 (日)

相続を伴う後見案件

 2025年6月1日(日)、おつかれさまです。

 今日から6月です。時が経つのがとにかく早過ぎて・・・仕事は溜まる一方ですが、そんな私の事情など、全く関係なく季節は変化していきます。

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 紫陽花(あじさい)は、土壌がアルカリ性・中性だと赤色系に、酸性だと青色系に変化するそうです。青と赤が並んで咲いていたのですが、わずか1メートルほどの距離でPHが違うんでしょうね。最近は白い紫陽花もよく見かけますが、PHに影響されない品種なのでしょうか。

 さて、前置きはともかく業務日誌です。

 今日は日曜ですが、午前中は被保佐人からの呼び出し、午後から出勤して家裁への1か月報告を作成。最近多いのですが、高齢者や障害者を介護していた家族が急死して、残された方の後見人になってほしいとの相談が続いています。

 できる限りお引き受けしますが、けっこうたいへんだということをご理解ください。難しいのは、情報が足りないこと。まず、空き家を探索し、郵便受を頻繁に見に行き、故人の取引先(銀行・保険・株・電話会社・ライフライン・税金関係等々)を特定しないといけません。

 次に、相続人の特定。子どもがいない高齢者夫婦で、介護していた方が亡くなると少々面倒です。相続のために兄弟姉妹、甥姪を探し出さなければなりません。

 そして遺産分割協議ですが、ここまで行くまでに、残された方の資金がショートするケースがあります。電気やガスを止められるわけにはいかないので、立て替えたりして。

 そんな案件が同時に4件、うちに来ています。とまあ、たいへんはたいへんですが、とりあえず今日1か月報告書を作ったケースでは、早めに相続ができそうです。

 あと3件も急がなくちゃ。うかうかしていると、すぐひまわりが咲く季節になっちゃいますから。(桐)

 

 

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2025年5月30日 (金)

空家のあじさい

 2025年5月30日(金)、おつかれさまです。

 どんよりした空、雨は降らないまでも湿気は多いです。もうそろそろ梅雨入りでしょうか。

 今日は一日、水島・連島回り。訪問先のアジサイが可愛かったので、写真に撮りました。

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 成年後見人と違って不在者財産管理人って金融機関ではほとんど知られていません。

 不在者財産管理人の口座を開設するには、地元の地銀では5500円の口座開設手数料がとられるということも書きました。一応、JAで手数料なしで口座開設できたことを報告します。

 さて、不在者の家に行ってみました。もちろん空き家です。実は面識のある方なので、この家を訪問するのは3回目か4回目だと思います。

 外から見てわかるほどに傾いています。解体した方がいいと思うのですが、不在者財産管理人の仕事は保存行為・管理行為です。解体は処分行為ですから、権限外行為になります。

 どうしたものかと悩んでいます。重病だったのに医師が止めるのも聞かず勝手に退院して、行方不明だそうです。たぶん帰来することはないと思います。

 でもやっぱり解体の許可はよっぽどのことがないと難しいでしょうね。

 と、そんなことを考えながら、家の周囲の写真を撮りながら、アジサイがきれいだったので。(桐)

 

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