法律豆知識・登記実務

2026年6月22日 (月)

遺言と遺留分

 2026年6月22日(月)、おつかれさまです。昨日痛めた腰が・・・・・。

 先日、熊本銘菓「誉の陣太鼓」をいただきました。ありがとうございます。これ、美味しんですよね。あっという間になくなりました。

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 さて、今日は午前中に事務所で、午後からは市役所の当番で、相続や遺言に関する相談が集中しました。その中で、遺留分について説明する機会が3回もありましたので、おさらいのために。

 (1) 親と子の関係がうまく行っておらず、夫が妻へ全財産を相続させるという遺言を残した場合、子が文句を言ってこないかと心配しているご夫婦がいました。夫の全財産の1/2×法定相続分は、子の遺留分であり、遺言があっても奪うことのできない子の権利です。

 子が2人いれば、1人につき1/8が遺留分となります。

 ただし、遺留分には時効があり、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ってから1年です。つまり、母親がすべて相続したことを、子が知ってから1年以内に遺留分侵害額請求をしなければ、遺留分を取得することはできません。

 遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知らなかったとしても、相続開始の時から10年間権利を行使しないと、時効にかかってしまいます。これを除斥期間と言います。

 (2) 父親には先妻の子がおり、後妻の連れ子とは30年以上同居し、何かと面倒を見てもらっていますが、養子縁組をしていません。まず真摯に親子関係を築く意思があるのであれば、養子縁組を勧めます。

 こうして後妻の連れ子と先妻との間の実子は兄弟姉妹の関係になり、父の死後は遺産分割協議をしなければなりません、遺産分割協議を避けるために遺言の作成をお勧めします。

 ただし、ここで先妻の子の遺留分が問題になります。もし遺留分侵害額請求をされたときに、いくらの金銭を払わなければならなくなるか、計算しておくことをお勧めします。

 やっぱり相続の相談が多いこの頃です。遺留分は、最低限保証された法定相続人の権利です。請求する側も、請求される側も、まずは相談してみてください。(桐)

 

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2026年5月 5日 (火)

不動産の付合

 2026年5月5日(火)、こどもの日です。

 連休のおかげで、今日が何曜日だかわかんなくなってきましたね。とりあえず、1泊2日の日程で東京から帰ってきた長男のおかげで、"BitLocker" は無事解除できました。

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 ところで、話は変わって、今日は法律の話です。今日一日ずっと悩んでいたのが、民法242条関係です。

民法242条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

 不動産の付合と呼ばれますが、その背景にあるのは "一物一権主義" という大原則です。一つの物に対して所有権は一つしか成立しない、裏を返せば、権利は一個の独立した物のうえにしか成立しないという考え方です。

 建物でいえば、玄関部分はA所有、寝室がB所有、台所がC所有ということはありえず、もしあるとすれば寝室や台所が別棟で独立した別個の建物であるという場合のみです。一個の物には一個の所有権しか成り立ちませんから。

 既存の建物に所有権者でない者が増築した場合、その増築した部分の所有権は、不動産の付合により既存建物の所有者の所有権に吸収されるものと考えられます。

 ですから、親の家に子が出資して増築した場合、負担付贈与とか代物弁済とかの理由をつけて、親の所有権の一部を子に移転させて共有にしなければ贈与税の問題が発生します。登記では、表題部を変更し、権利も共有にしなければなりません。

 ところが、増築部分が未登記で、しかも独立性は全くないのに、課税上、納税義務者が既存部分と増築部分で別々になっている場合があります。この場合、増築部分の所有者はいったい誰なのでしょう。

 市町村としては増築部分の出資者を所有者と判断して課税しているのでしょうが、民法242条からすれば登記されて共有関係になっていない以上、増築部分の所有者は既存部分の所有者ではないかと、私は思うのですが、どうなんでしょう。

 既存建物と未登記増築部分の所有権をどう考えるか、実務的には重要な問題です。悩んでいるのは、過去に借主が増築して登記をしてない事案で、貸主と借主の両方が亡くなり、双方の相続人が解体費用をどういう割合で負担するかという問題。

 ただ一つ確かに言えることは、ちゃんと増築の登記をして建物の共有割合を登記していれば問題はなかったかと。将来にトラブルの素を残さないためにちゃんと登記しておきましょう。(桐)

 

 

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2026年4月22日 (水)

遺産分割調停と同審判の管轄について

 2026年4月22日(水)、おつかれさまです。

 今日は家事事件の管轄についての復習です。

家事事件手続法第245条1項

 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

家事事件手続法第191条1項

 遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

 上記のとおり、遺産分割事件では、調停は相手方の住所地、審判は相続開始地が原則です。

家事事件手続法第9条1項

 裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属さないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。

 管轄違いの場合、管轄裁判所への移送が原則ですが、家庭裁判所については、管轄のない家庭裁判所に移送することも自ら処理(自庁処理)をすることもできます。

 なお、遺産分割事件(別表第一)は、調停前置主義を採用していないので、いきなり審判の申立てをすることができます。ただし、審判の申立てをしても「調停に付する決定」が出されるケースは多いと思いますが(法274条1項)、これを付調停といいます。

 付調停がなされた場合、原則としては調停事件の管轄権を有する裁判所が処理するのですが(法274条2項)、家庭裁判所については自庁処理をすることができます(法274条3項)。

 ということで、先般の事件(申立人の住所と相続開始地がこちらで、相手方住所が北海道だった遺産分割事件)では、遺産分割審判を申し立てて付調停となり、自庁処理をしていただきました。もちろんそうすべき内容の事件でしたが。(桐)

 

 

 

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2026年4月 8日 (水)

23条通報

 2026年4月8日(水)、おつかれさまです。

 この辺りでは桜もそろそろ終わりという感じで、柿の若葉がきれいな季節になってきました。

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 さて、今日は法律豆知識です。

 今日の地域ケア会議でも話題になったのですが、23条通報という手段があります。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

第23条 警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他の周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

第27条第1項 都道府県知事は、第22条から前条までの規定による申請、通報又は届出のあった者について調査の上必要があると認めるときは、その指定する指定医をして診察をさせなければならない。

第29条第1項 都道府県知事は、第27条の規定によるう診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。

 警察官の23条通報→指定医の診察→措置入院という流れになります。

 今日の事案はそこまでではありませんが、(1)成年後見人をつけ、(2)あらゆる社会資源を動員して在宅を継続し、(3)在宅が限界に達したところで医療保護入院、(4)安定すれば介護施設、という流れになると思われます。

 その過程で何らかの問題行動に発展すれば、23条通報ということもありえないわけではありません。(桐)

 P.S 以上の記事を書いた後、かつてよく似た事案があったなと思って、ブログを検索してみたら、「警察官通報から医療保護入院へ」という記事を書いていました。ほとんど一緒ですね。(桐)

 

 

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2026年2月25日 (水)

相続による抵当権変更

 2026年2月25日(水)、おつかれさまです。

 この辺りでは昨晩から14時ごろまで雨が続きましたが、ダムの水位を回復させるには程遠い雨量だったようです。

 さて、久々に登記についての話です。

 相続税対策と勧められてローンを組んでマンションを建てた場合、所有者兼債務者が亡くなると、所有権の相続登記と合わせて抵当権の債務者の変更登記をしなければなりません。

 通常はマンションの賃貸収入でローンを返済していくわけですから、金融機関としては当該不動産を所有する相続人を債務者としたいところです。

 債務者の変更登記を申請するには、(1)債務を法定相続人全員に相続させて、債務引受契約によって当該不動産を相続する相続人に債務を引き受けさせる方法、(2)債務も遺産分割協議によって当該不動産の所有者に相続させ、それを金融機関が承諾する方法の2通りがあります。

 実際の権利変動は(1)ですが、(2)では遺産分割の遡及効によって死亡時に遡って債務を相続するため、金融機関が承諾しさえすれば話は簡単です。

 (1)では相続を原因とする抵当権変更登記と債務引受を原因とする抵当権変更登記を連件で申請しますが、それよりも(1)のほうが1回の申請で済むので費用は安上がりです。

 2018年12月11日「連帯債務者の相続、債務引受」という記事を書いてありますので、ご覧ください。(桐)

 

 

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2025年12月25日 (木)

医療法人の役員変更届

 2025年12月25日(木)、おつかれさまです。

 医療法人の役員変更の登記申請並びに岡山県への届出が完了し、書類を返却したところです。

 これは行政書士の業務ですが、医療法人が県に対してしなければならない届出は主に次の3つです。

 (1)役員変更届

 (2)登記事項の届出

 (3)事業報告書

 医療法人の役員は、理事長、理事、監事ですが、登記事項とされているのは理事長だけです。したがって、理事や幹事に変更があった場合は、(1)の役員変更届を出すだけで、(2)の登記事項の届出は出す必要がありません。

 理事長の変更があった場合は、(1)と(2)を出す必要があります。当たり前のことですが。(桐)

 

 

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2025年12月14日 (日)

商業登記規則61条6項但し書き

 2025年12月14日(日)、おつかれさまです。

 商業登記法・商業登記規則については、もともと興味が薄かったのですが、開業後、会社関係の仕事が少なかったこともあって、頭から完全に抜け落ちてしまいました。ということで復習です。

商業登記規則第61条第6項

 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑と同一であるときは、この限りではない。

一 株主総会又は種類株主総会の決議によって代表取締役を定めた場合  議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑

二 取締役の互選によって代表取締役を定めた場合  取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑

三 取締役会の決議によって代表取締役又は代表執行役を選定した場合  出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

 私が勉強したころは「規則83条3項但し書き」でしたが、今は「61条6項但し書き」です。わかりやすく言うと、代表権を有する者が交代をする場合、選任を証する書面には全員の個人の実印が必要だが、前任者が会社の実印を押印している場合は、他の押印者は認印でいいということ。

 代取が参加した取締役会で後任者を選任するのがいいですよね。禅譲であれば、退任・就任の日を決めて予選するのもグッドです。従前の代表取締役に会社実印を押してもらえれば、他の取締役・監査役の実印は不要です。(桐)

 

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2025年11月 9日 (日)

名誉棄損罪とは

 2025年11月9日(日)、おつかれさまです。

 日曜日ですが、出勤されたスタッフさん、ありがとうございました。雨のおかやまマラソンでがんばったランナーの皆さん、関係者の皆さん、おつかれさまでした。

 さて、NHKから国民を守る党の立花孝志党首が逮捕されたので、名誉棄損罪について勉強してみたいと思います。刑法「第34章 名誉に対する罪」の中で、

第230条 公然と事実を適示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を適示することによってした場合でなければ、罰しない。
第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
第232条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。

 第230条が名誉棄損罪で、第231条が侮辱罪です。名誉棄損罪は、適示した事実が事実であるか否かに関わらず適用されます。死者名誉棄損罪は虚偽の事実を適示した場合に限定されます。

 さらに、名誉棄損罪・侮辱罪ともに第232条で親告罪とされています。立花容疑者の場合は、亡くなった竹内英明元兵庫県議の奥様が告訴したため、警察は動いたわけです。

 名誉棄損に該当する行為は、竹内元県議の生前に行われているので、「事実の有無にかかわらず」の第230条第1項が適用されます。3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金ですが、立花容疑者の場合は別件で執行猶予中なので、実刑になる可能性が極めて高いと言われています。

 ただ、公然とデマを流布し、それに扇動された者たちの嫌がらせ行為によって、被害者は精神的に追い詰められ、自ら命を断ったのですから、死に追いやる故意はなかったとしても、結果の重大性を鑑みると名誉棄損罪だけでは軽すぎるのではないかと思います。(桐)

 

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2025年11月 1日 (土)

相続分の指定と遺産分割の方法の指定

 2025年11月1日(土)、おつかれさまです。

 複数の相続人に遺産を残したい場合、遺言の方法には「相続分の指定」と「遺産分割の方法の指定」という2通りがあります。

 相続分の指定とは、たとえば相続人が長男と二男の2人だとして、法定相続分は2分の1ずつですが、遺言で長男の相続分を3分の2、二男の相続分を3分の1と決めるような場合です。

 遺産分割の方法の指定とは、預貯金のうち二男に500万円、長男に不動産とその他の預貯金全部というように、遺言で遺産の分け方を決めるような場合です。

 相続分の指定は、あまりお勧めはしません。預貯金や株式のような金融資産だけなら分けやすいのですが、不動産がある場合は共有になってしまいます。

 実際の話ですが、8人の子に相続分の指定をした遺言がありました。男子と女子の相続分は2:1の割合とするという、ちょっと前時代的な内容です。

 この遺言によって、すべての不動産が8人の兄弟姉妹の共有になってしまいました。

 さらに、6人が亡くなって数次相続となり、配偶者がいて子がいない共有者の場合は配偶者が相続人となりますが、その配偶者も亡くなって、その兄弟姉妹さらには甥姪が相続人になりました。

 共有者の一人から見れば、兄弟姉妹の配偶者まではわかっても、その配偶者の実家からさらに枝分かれした人たちに相続の権利が承継されて行って・・・。

 さらに、姪の一人については、相続人不存在で相続財産清算人の選任が必要となり・・・・とまあ、こんな具合でいったい何十人の相続人になるんだという事案になってしまいました。

 共有者のお一人がその何十人もの相続人を相手に、一人ずつから持分を買い戻そうとして、そのお手伝いをしていたのですが・・・・その方自身も亡くなってしまいました。

 ここまでの事案は珍しいとは思いますが、現実の話です。元はといえば、不動産があるのに相続分の指定の遺言を残したこと、その通りに登記をしてしまったことから始まっています。

 というわけで、不動産がある場合の相続分の指定の遺言はお勧めできません。(桐)

 

 

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2025年10月15日 (水)

被後見人の不動産を贈与した件

 2025年10月15日(水)、おつかれさまです。

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 空の高い位置には秋の薄い雲、低い位置には夏ぽいのくっきりした雲。10月宇中旬になって、ようやく過ごしやすい気温になってきましたね。

 さて、業務日誌です。

 2025年3月5日「被後見人の財産の贈与の可否」の続編です。

 この記事では、法務局からの問い合わせに、「本件贈与は被後見人の財産を減少させるものではない」という上申書をつけて、贈与登記を通してもらったのですが、今回は上申書などなしですんなり通していただきました。

 当然と言えば当然です。登記官には形式的審査権しかないのですから。(桐)

 

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